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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第31回 番外之傳 アイランド、ゴー! GO!・肆
「そんな大げさな技術じゃないと思うよ」
 と、白井が言った。
「推測なんだけどね。ここに穴がいくつかあるだろ。これが関係してるんじゃないかな」
 白井が示すところに、直径にして三十センチぐらいの穴が四つほど開いている。いずれも海没していた。
「満ち潮になると、ここに海水が流れ込む。すると、この奥に多分、水に浮く板状のモノがあって、その板が水で押し上げられる。その板には綱か鎖が繋がっていて、浮力で綱なり鎖なりが引っ張られる。それで、何かの口が開き、さらに海水が流れ込む。同じような仕掛けが奥にもあって、それで、輪(りん)軸(じく)が動いてこの扉が少しだけ動いて隙間が現れる。そんなところじゃないかなあ」
「いや、それだとしても、やっぱり十分ハイテクノロジーだから」
 そう言って俺は改めて扉を見る。正直、こんな絡(から)繰(く)り、「ミハシラ」の人が気づかないわけはないんだが、なんで放置してあるんだろう? それより、白井だ。トレジャーハンター、っていうか、こいつはもしかして、いっつもこんなこと考えてるんだろうか。
「こりゃ、マジで『お宝』がありそうだな!」
 と、優流は少々興奮気味だ。だが。
「それはどうかな、福殿くん。この仕掛け、この島をリゾートにしようって考えてる企業の人が見落とすとは思えないし、この岩だって、最近、重ね直したもののように見えるし。まあ、一応、確認はしてみるけど、装備は調えよう。そうだ、それまで、天宮くんは誰もここに来ないように見張っててくれるかな?」
 冷静なように見えるが、白井も興奮しているとみた。

 で、懐中電灯だの武器になりそうなものだのを手に、件(くだん)の穴の中に入っていった。
 で、すぐに挫折、となったわけだ。
「落盤かな。完全に先がふさがってるね」
 白井がライトで照らしながら言った。
 確かに、入り口から二メートルあたりで、岩がゴロゴロと重なって行く手を塞いでいた。これなら「ミハシラ」の人たちが放置しているのも頷ける。おそらく、危険防止の為に、いずれはここを完全に塞ぐつもりなのかも知れない。
「あーあ、『お宝』があると思ったのに」
 穴から出て、優流は大げさなぐらい残念がってみせる。
「まあ、宝探しなんて、こんなものだよ、福殿くん」
 と、白井も苦笑交じりに言った。トレジャーハンターとかって自称してるから、電波でも受信してるのかと思ったけど、案外、優流よりも「現実」を見ているのかも知れない。
 俺は扉を戻して、その前に岩を重ねながら、言った。
「でも、結構、ワクワクしたよな」
 確かに、と答えてから、白井が頷く。
「うん、これをレポートにすれば……」
 そして、もう一度、扉の方を見る。その先が容易に想像出来たんで、俺は白井の肩に手を置いて忠告しておくことにした。
「『男のロマン』もいいけどさ、とりあえず、自分の人生に、自分で責任が持てるようになってから、にしようぜ?」
 俺たちは「修学旅行」でここに来ている。だから、もしここで事故にでもあったら、引率の先生方に迷惑がかかる。
 言葉には出さなかったが、俺のそんな考えを白井はわかってくれたのだろう、
「そうだね」
 と言って、笑顔で頷いた。


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