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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第29回 番外之傳 アイランド、ゴー! GO!・弐
「なあ、美悠那は何するつもりなんだ?」
 俺は、とりあえずの自由時間(もっとも何らかの「イベント」に参加してないものにとっては、実はこの期間中すべてが自由時間なんだが)に砂浜で珠璃、美悠那、クラスメイトの福(ふく)殿(どの)優(まさ)硫(る)と落ち合った。
「スイーツ研の先輩がね、去年、ここに自生している果物でオリジナルスイーツを作ってるの。だから、あたしも挑戦してみようかなって。竜輝は?」
「俺かあ。特に決めてないなあ。珠璃は?」
「ボクも、特には。でも、生徒会の人間としては、いろいろと仕事があるのは事実だけどね」
 と、肩をすくめる。
「そっか。たいへんだな。優硫は?」
「俺も、何やるか、決めてね。一応『行事予定表(イベントガイド)』はもらってるから、なんかいいのがあったら、参加しようとは思ってるけど」
 なんて話をしていたら、奇妙なモノが目に入ってきた。
「ン? あれ、古澤じゃねえか?」
 俺が言うと、珠璃たちもその方を見る。古澤は、どこで調達したか、一メートルはありそうな、妙に長くて細い棒を持ち、砂浜に突き刺しながら歩いている。
 怪しいこと、この上ない。
 見とがめているのは俺たちだけらしいので、とりあえず声をかけておく。……直射日光で、脳のあたりがイカレちまってないかどうか、確認しとかないとな。
「よう、古澤。何やってんだ?」
「え? ああ、天宮君。御遺体がないか探してるの」
「……は?」
 思わず素っ頓狂な声を上げちまったが、それは珠璃たちも同じだった。ハモりこそしなかったものの、やっぱり「え?」とか言って首を傾げているしな。
「孤島といったら、やっぱり『殺人事件』よね。ミス研として、こんなシチュエーション、放っとけないんだけど、他の会員はいろんな行事に参加することにしているみたいで、とりあえず、私だけでも『下準備』しておこうと思って」
「下準備?」
「そう」
 と、古澤は棒を片手に俺たちの方を見た。
「殺人事件の捜査とか、そのあたりを再現してレポートにまとめるの。映研の人にも声をかけておいたから、ひょっとしたら合同製作で、ミステリが一本、出来るかも」
「そうか」
 と俺は言っておいた。なるほど、そういう野望を抱く奴もいる訳か。
「私としたことが、迂(う)闊(かつ)だったわ。こんな、またとないチャンスなのに、ろくろく『下準備』をしてこないなんて。でも、今からでも出来ることはあるし。……そうそう」
 と、古澤は思い出したように言った。
「こんなチャンス、思い出させてくれて、ありがとね、天宮君」
 笑顔で言ってくる。
 まあ、誰かの役に立てたんなら、それはそれで嬉しいことだが、やっぱり細長い棒を持って何をしているのかが気になる。
 俺の、というよりこの場にいる四人の視線が棒に集まっているのに気づいたか、古澤が棒を、軽く掲げて言った。
「これはね、一応『検(けん)土(ど)杖(じよう)』のつもり。本当は一定間隔に何人かで並んで、一斉に突き刺すんだけどね」
 聞いたことのない単語に、優流が尋ねた。
「なんだ、その、けん、なんとかって?」
「検土杖。これを地面に突き刺すとね、御遺体が埋まってる場合、先端に付くのよ」
 何が付くのかわからない。なので、俺は聞いてみた。
「……何が?」
「血が」
 事も無げに古澤が答える。
 絶句している俺たちに構わず、古澤は解説を続けた。
「カスパーの公式、またはキャスパーの法則っていうんだけど、地中に埋められた御遺体は、結構、長持ちするのよ。腐敗と損壊が、もっとも進むのが、山中に遺棄した御遺体ね。だから、埋められて間もない御遺体の場合、こうやって検土仗を突き刺すと」
 と、手に持った棒を、砂浜に突き刺す。
「先端に御遺体の血液が付着する可能性が高いってわけ」
 なんていうか、言葉がない。それは俺だけじゃなく、他の三人も同じらしかった。
「で、とりあえず、どのくらいの深さまで突き刺せるか、あっちこっちの地面を調べてまわってるわけ」
 なるほど。それで死体を埋められそうな場所を見繕(みつくろ)ってたわけか。かなり本格的だな。 珠璃が困ったような(案外、本当に困っているのかも知れない)笑顔で言った。
「そう。頑張ってね」
 古澤は「うん」と返事して作業に戻った。
 名刑事は、同時に狡猾な犯罪者ともなり得る。願わくは、古澤が道を踏み外しませんように。


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