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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第24回 参之傳 父、来たる・弐
 久しぶりに会った親父は、ほとんど変わりなかった。髪とヒゲが伸びて、肌が焼けてる以外は、見た目は全く変わっていない。
 人によっては二十代後半に見えるらしいが、これでも、結構いい年(と)齢(し)いっている。爺さんも、母さんもそうだが、天宮流の修行で、ある程度の境地に至っている人間は、皆、実年齢はともかく異常なぐらい若く見える。「アンチエイジング」どころの話じゃない、本当に若返るそうで、中には十数年前の写真と現(い)在(ま)と比べると、明らかに現在の方が若く見える人が、ゴロゴロ転がっている。
 凉さんと紗弥さんもその口だが、間違っても本人の前では言わないほうがいいだろう。
 俺は親父を「菜彩古潭」まで連れて行った。
「本格的だな」
 メニューを見て、親父はちょっと驚いていた。こういうヴィーガン専門の店っていうのは、実はものすごく少なくて、あっても他に肉料理を提供していたりするから、修行が進んでも「不安定」な人は、提供される肉料理に「転写」された怨念を感じ取ってしまって、昏倒寸前になることもあるそうだ。
 店では、簡単な近況報告とか世間話に終始した。さすがに不特定多数の人が出入りする飲食店で、神仙道の話が出来るわけはない。
 なので、俺たちは食後、近くの公園まで足を伸ばした。

「イザナミを倒したそうだな」
 親父がニヤついて言う。
「ああ。正確には、自分を『イザナミ』だと思い込んでいる何者か、だけどな」
「そうか」
 と、親父は頷く。
 俺たちはベンチに腰掛けて、噴水を見るでもなく見ている。
 そして。
「お前には、色々と話しとかないといけないことがある。宗師から話すってのもあったんだが、まあ、俺から話した方がいいかな、って思ってな、宗師には了承をいただいた」
 親父は、何だか言葉を選んでいるようだ。
 いつの間にか、周囲の人(ひと)気(け)は失せていた。親父が「人払い」をしたのは、明らかだ。
「まずは『竜(りゆう)魂(こん)拝(はい)受(じゆ)』から話しとこうか。お前、うっすらとでも覚えてるか?」
 確か、俺が五歳か六歳の頃に、そんな秘儀を受けた覚えがある。
「うっすらと、だけど。それが?」
「あれはな、本来、宗家の跡目を継ぐ者の、候補が決まってから、さらに、その候補が男なら二十、女なら十八を過ぎて受けるものなんだ」
「え? 言ってる意味がわかんないけど?」
「神意が下ったんだよ、お前の場合」
「それって……? ええっ?」
 本当に理解できない。どうして、そんな「例外」みたいなことが起きたんだ?
「それを話すには、天宮の先祖が、昔、何をしてしまったかを知る必要がある」
 それは、畢(ひつ)竟(きよう)、俺がここに転校することになった、そもそもの理由だ。だが。
「いいのか、それ話して?」
 爺さん、つまり宗師としては、俺自身がそれを突き止めることを望んでいるはずだ。
 そんなニュアンスが表(か)情(お)に出たのか、親父を俺を見て、苦笑する。
「お前が宗師をどんな風に思ってるか知らんが、ことは緊急を要するからな。四の五のいってられないんだろう」
 そして、親父は「昔話」を始めた。


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