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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第19回 番外之傳 天高く、UMA肥ゆる秋・壱
 昼休み、乾(いぬい)ありすがクラスメートで新聞部の稲(いな)桐(ぎり)一(いち)子(こ)とともに佐(さ)久(く)田(た)鷹(たか)尋(ひろ)の席までやって来た。
「ちょっといいですか、鷹ちゃん」
「どうしたの、ありすちゃん?」
 ありすの言葉に、鞄から昼食の弁当を出しかけて、鷹尋は見上げる。
「鷹ちゃんは知ってるですか、噂のUMAのこと?」
「ゆーま? ユーマ、……ああ、UMAね。未確認生物とかっていう」
 一子がうれしそうに頷いて言った。
「暮(くれ)満(みつ)の方なんだけどね、あそこにちょっとした林があるの、知ってる?」
「うん。知ってるけど」
 机の上に弁当を置いて、鷹尋は簡単に千京市の地図を思い浮かべた。
 暮満は千京市の西部に位置するエリアで、隣の市にまたがる林がある。
「そこに、出没するらしいのよ、UMAが!!」
 と、一子は驚いてみせる。
「へえ」
 一子の勢いに少々、鼻白みながらも、鷹尋は先を促した。
「あんな場所に未確認生物なんて、ちょっと想像できないけど。見た人とか、いるの?」
 暮満には、たしかに林があるが、だからといって深山幽谷とか、人間世界と隔絶された秘境というほどではない。鷹尋は実際に散策して確かめたわけではないが、確かに隣の市にある山と繋がってはいるものの、いきなり山間部になっているわけでもなく、場所によっては人家も散在するらしい。
「いるのよ、それが!」と両手を拳(こぶし)に握って一子が力説する。
「見た人の話だとね、夜中にあの林の中で、火の玉が踊って、変な『女の声』がして、で、ロボットみたいな人影のようなものが動いているんですって!」
 もはや、UMAじゃないような気がしてならないが、一応、鷹尋は言ってみる。
「なんか、オカルト現象大行進みたいな話だね、それ?」
 だが、一子は聞いていない。
「超常現象なんて、そんなものじゃない? 他にも見た人の話だと、そのロボットみたいな人影は、人に気がつくと、林の奥に去って行く、とか、妙な唸り声を上げていた、とか。新聞部として、こういうニッチなネタも拾っておかないといけないと思うのよ!」
 思うのよ!とか、完全な主観を力説されても鷹尋には答えようがないのだが、とりあえずは言っておいた。
「多分、くだらないオチがつくような気がするんだけど」
 鷹尋は天宮流神仙道の弟子である。だから、神秘現象や超常現象、霊現象なんかには興味はあるが、実はUMAには、たいして興味を抱いていない。何かの話で「ゴリラは、その存在がアカデミズムによって確かめられるまでは、地元の人たちからはUMA扱いされていた」と聞いたことがあり、UMAの全部がトンデモな存在ではないだろう、程度にしか思っていない。
 だから、一番気になることを口にする。
「でも、なんで、そんな話を、僕に?」
 鷹尋が道士であるというのは、一般の人はもちろん、クラスメイトは誰一人として知らないはずだ。だから、こういう話をふってくる理由がわからない。


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