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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第18回 弐之傳 欲望という名の媚薬・肆
 あの薬剤については、正直なところ、未知の成分が含まれていて分析できないらしい。だが、平行して霊的調査も行われていた。その結果。
「完全な形じゃないんだが、『金丹』を形成するように、ある種の『呪術が施された』形跡があるらしい」
「微妙な表現ですね、それ?」
 その疑問には、紗弥さんが答えてくくれた。
「あの薬剤そのものじゃなくて、どうも含まれている『未知の何か』が、そういう性質を持つように呪術的な操作を施されているみたいなの」
 いくつかの傍証から、あの薬剤に「ミハシラ・メディックス」が関わっているらしいことは、明らかになっているという。
 製薬会社と金丹か。すぐには結びつかねえな。っていうのも、金丹の材料なんて、雄(ゆう)黄(おう)(硫化ヒ素のことな)とか、辰(しん)砂(しや)(水銀と硫化物の化合物な)とか、そのまんま解釈したら毒物ばっかりだぞ?
 だから、それらの材料は何かの「象徴」だったり、別のもの、例えば薬草なんかの「言い換え」だったりするんだが。
 まさか、本気でそういう材料を集めて、ああいうシロモノを作っちまったんじゃねえだろうな? あ、でも、そうだったら、科学的分析でわかってるはずか。
 ていうか、そもそも、金丹なんて、この世界にはあり得ない。道士たちの、まさに「見果てぬ夢」なのだ。九転還丹は一応、生成可能ってことにはなってるが、正確な材料とか配合なんかは実は伝わってなくて、これも事実上、実現不可能なものだ。
 そのあと、凉さんと紗弥さんは変わらず生臭い話とか、きな臭い話とかをしてたんだが、十時になる頃には帰って行った。
「竜輝、とりあえず、胡桃の部屋に夜這いかけとけよ? いい報告、待ってるぞ」
 そんなことを言って凉さんは紗弥さんとともに帰っていった。
 あとで俺が塩を撒いたのは、言うまでもない。

 天宮邸を出て、五分ほどした頃だろうか。紗弥がサマージャケットの内ポケットに入れている、スマホが鳴った。
「ごめん、凉、ちょっと停まるわね」
 そう言って愛車を路肩に停め、ハザードを点灯させると、紗弥はスマホを取り出した。
 見たことのない番号に、怪訝な表情が浮かんでしまったのだろう。凉は、わざとあさっての方を向いた。
 紗弥はスマホを耳に当てる。
「もしもし。……はい、石動(いするぎ)は私ですが。失礼ですが、どちら様でしょうか?」
 その言葉に相手が返答する。にわかには信じられない回答に、一瞬戸惑ったが、紗弥はそれを声に乗せることなく言った。
「申し訳ございません。ただいま取り込んでおりまして、後ほどこちらから、お掛け直ししてもよろしいでしょうか?」
 相手が了承したのを確認し、紗弥は通話を切る。一、二分ほど考えてから、紗弥は後部シートの下に置いたバッグを引っ張り出す。
 込み入った事情だと察したのだろう、その動きを目で追いはするものの、凉は何も言わない。
 バッグからタブレットを取り出すと、紗弥は何かを確認した。ここで、やはり怪訝そうな表情が浮かんでしまったのだろう、凉は再び、窓外に目をやる。
 それに、心(しん)中(ちゆう)、感謝しながら、紗弥はコールバックする。
「もしもし、石動と申しますが、先ほどは失礼致しました。……どういったご用件でしょうか?」
 相手が話すことを聞きながら、紗弥はタブレットにメモを取っていく。
 どうやら、彼女が想像もしていなかった事態が進行していくようだ。

(弐之傳 欲望という名の媚薬・END)


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