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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第7回 壱之傳 最大さいきょーの決戦ッ!・漆
 ここでの「勝負」は「リポート勝負」。要するに「チーズのまったりとしてキレのあるコクがさっぱりと口の中に広がって、後味がケーキの玉手箱やぁぁぁぁぁ」っていう、アレだ。杏さんのことだから、
「たいへん、おいしゅうございました」
 の一言じゃ、許してもらえないだろう。
 ちなみに、本当に美味しいものを食べた時は、人間って「美味い」の一言しか出なくなるんじゃないかってのが、俺の持論なんだが、この際、そういうポリシーは捨てた方が良さそうだ。
 目の前に置かれたチーズケーキ。基本的にはレアチーズケーキだそうだが、チーズ風味のクッキーチップが練り込んであるそうで、その食感が人気のポイントその一らしい。
 その二は、表面をコーティングしているチーズテイストのクリームだ。詳しいことは知らないが、実際にはチーズはほんの少ししか使われていないらしい。
 その三が、上にかけられたソースだ。各種フルーツや、チョコ、アーモンドやナッツ類などのペーストソースから選べるそうだが、最近登場したキャラメルソースが、人気急上昇中という。
 正直よくわからないので、俺は一番人気だというストロベリーソースをチョイスした。美悠那は「スイーツキング」の関係もあるので、店に入る前からアレコレ考えていたが、結局、ニューフェイスにして実力派のキャラメルペーストにした。
 さて、と。とにかく「それらしい」コメントが必要なわけで、こういう時、テレビのグルメ番組とか、グルメマンガとか、そういうのを観たり読んだりしてれば自然とコメントも出てくるんだろうけど。
 ……。
 修行漬けだからな、俺の生活。修行の中に「言霊修称(ことだましゅうしょう。「称」は「唱」にあらず)」っていうのがあるから、時間を見つけては辞書に目を通したりしてた。だから、語彙についてはそれなりに自信はあるつもりだが……。
 まあ、とにかく、食べてみよう。

 唐突だが、結果だ。言うまでもないが。
「この勝負、美悠那はんの勝ちどす」
 つまり俺の負け。これについては敗者である俺にも異存はない。
「まるでシルクのようなクリームの表面、淡雪の中に金平糖をちりばめたような食感、口に入れた瞬間、とろけて甘い余韻だけを残すクリームチーズ。そして北の大地の持つ、芳醇さがそのまま溶かし込まれたかのように香りとコクの高いキャラメルソース……」
 ほかにもなにやら魔法の呪文みてえな単語を並べていたが、さすがは美悠那、伊達に食べ歩きをしてないな。対する俺はってえと。
「たいへん、おいしゅうございました」
 の、一言のみ。
 仕方ねーじゃん。複数の意味をいかに一語に込めるかっていう修行ばかりしてきたんだからさ。
 ……なんていう言い訳は、みっともねえな。


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