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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第41回 陸之傳 熱きたたかい・参
 女子たちは海に入り、水のかけ合いとかいった定番の遊びをしている。しかし、その中にあって、珠璃はチャンスを虎視眈々と狙っているだろう。俺は再び意識を集中……。
「いい光景だなあ、竜輝」
 優硫が側に来て、とろけきった顔で、そんなことを言った。
「ああ、鳳(おおとり)さんにかかる水しぶきになりてえ」
 好きなアイドルに抱かれる動物がうらやましいっていうのはよく聞くが、水しぶきってのは画期的だ。もしかしたら、優硫のヤツ、この熱さで頭がやられっちまったか?
「お前も、混ざったらどうだ、水のかけ合いっこ?」
 俺の言葉に優硫が「どーん」という効果音を背負ったような表情になった。
「断られた、ありすちゃんに」
「そうか」
 慰めの言葉が見つからねえ。
「それより、竜輝こそ、海に入らないのか?」
 立ち直った優硫の言葉に、適当な言い訳を考えている時だった。
 またもや女性の甲高い悲鳴。見ると、OLさんだろうか、若い女性が胸元を押さえている。ビキニスタイルの水着、そのブラの肩紐が両方とも、ずり落ちているのだ。
 視界の端に、珠璃の勝ち誇ったような笑みがうつる。
 周囲の人の話を総合すると、遊泳中に何かが体に絡む様な感じがして、気がついたらブラがずり下がっていたらしい。
 ああ、珠璃のヤツ、遂にやりやがった。ここはなんとしても、俺の手で水妖を斃さないとならない。珠璃を変質者の犯罪者にしないためにも!
 となれば。
 俺は、海に向かって駆け出した。浜辺からチマチマと気配探るのはヤメだ。直接海に入って、気配を探り出すしかねえ。
「お? 竜輝も参戦か?」
 なんてことを言う優硫は放っておいて、俺は海に入る。しかし。
「言っておくけど、そう簡単には見つからないよ」
 珠璃がニヤリとした。
「何が見つからないですか、かいちょ?」
 珠璃の言葉が耳に入ったのだろう、ありすが首を傾げる。
「ボクの野望さ」
 訳がわからなさそうに、反対側に首を傾げるありすも放っといて、俺は水妖の気配を探る。
 ……正直、さっぱりわからねえ。何かが蠢いているのはわかるんだが、具体的な位置の特定ができないのだ。やっぱり、水の中では実体化していないと、その存在は……。
 ん? 実体化?
 ……ああ、なんだ、そうか。わからなくて当たり前だ。
 俺は珠璃を見て思いきりニヤついてやる。瞬間、珠璃が舌打ちして目を逸らした。どうやら俺の考えたことを察したらしい。いや、正確には、俺が「あること」に「気づいた」ことを察したようだ。俺は、
「ひょうすべよ、約束せしを、忘るるな……」
 で始まる神歌(しんか)を唱えた。これはもともとは河童に対して使うものだが、一部、天宮流のアレンジが加えてあって、低レベルの相手なら、河童に限らず水妖全般に影響を与えることができる。そして。
 気合いもろとも右の拳を、水中にたたき込んだ。


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