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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第40回 陸之傳 熱きたたかい・弐
 しかし、本当に人、人、人、だな。水着がどうの、っていう噂のせいかもしれないが、七・三で男の方が多い気がする。
「さて、と」
 俺は浜辺に立ち、超常的感覚を研ぎ澄まして、海を探る。海限定で現れる訳だから、ある種の水妖の可能性または水妖のプロフィールを使っている可能性がある。これは当てずっぽうじゃない、もちろん、理由がある。珠璃は「ある程度、支配下に置いている」みたいなことを言った。ということは、思念凝集体を制御するために「名」と「プロフィール」を与えている可能性がある。
 それにそもそも、海で実体化したわけだからな。
「イケメン先輩も、ビーチフラッグ、するですよ」
 俺の集中を乱すかのように、ありすが俺に抱きつきタックルをぶちかます。その向こうで、珠璃がニヤリと笑うのが見えた。
 くっ、謀ったな、シャ……じゃない、珠璃! ここで俺が断れば、一体海に何をしに来たのか、ってことになる。「肌を焼に来た」ってことにしてもいいんだが、ちょっと不自然な感は否めないしな。
 俺は断る理由を探せぬまま、ありすに手を引かれ、ビーチフラッグをすることになった。ちなみに相手は優硫だ。そしてスタート直前の事だった。
 突然、女の人たちの甲高い悲鳴が聞こえた。しまった、珠璃のヤツ、さっそくやりやがったか!?
 悲鳴のした方を見ると、メタボで頭のテカリもまぶしい、もろに脂ギッシュなおじさんが、股間を押さえている。
「いや、これはわざとではなく、何かに引っかかっただけなんです! 本当です、信じてください!!」
 そう必死に弁明するおじさんの膝には海パンが引っかかっていた。そんで珠璃は、両膝と両手をつき、ブルーになっていた。
 やがて、ゆらり、と立ち上がると、珠璃は俺を見て言った。
「ふ、さすがだね、竜輝。ボクはその向こう側にいた女子大生のお姉さんを狙ったんだけど、そのすぐ傍に、メタボなおっさんを配置するとは……!」
 蒼い顔してタラタラ流している汗は、決して、暑いからではあるまい。
 今のは、完全にお前が制御に失敗しただけだろうが。
 そんな俺の心の声を聞いたかのように、珠璃は遠くを見た。
「確かにボクはまだ未熟さ。水の中だと光が屈折するのを忘れてたよ。屈折のせいで位置を見誤ったのさ」
 反省する点は、そこか、そこなのか? 女子大生らしき一団とおじさんとの間は、優に二メートルはあるぞ?
 ……いやいやいやいや、突っ込むポイントはそこじゃない!!
 どうやら、珠璃のヤツ、制御が完全じゃないんで、練習中らしい。もちろん、本番用に、だ。
 零司さんが俺の側に来て小声で言った。
「……手伝おうか?」
「いえ、こんなバカバカしいことに零司さんを巻き込めません」
 零司さんは苦笑を浮かべ、「頑張れよ」と俺の肩を軽く叩いた。
 改めて言葉にしてみて、俺は思った。

 ほんとに、なんでこんなバカバカしいことになってんだろ?


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