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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第4回 壱之傳 最大さいきょーの決戦ッ!・肆
「それは心配あらしまへん」
 と勝負方法についての質問に対し、意味深な笑みを浮かべた杏さんだが、十中八九、今日のことを予知して、手を打っておいたのだろう。つくづく抜け目のない人だ。実際、行く途中で、美悠那たちに気づかれないように人数が変わったことを電話してるし。
 ……と、ここでなら、杏さんの狡猾さ、もとい先読みの良さに苦い思いを感じるところだが、もし本当に杏さんが予知をしたのだとしたら、実は、こちらにも勝機はあるのだ。大体、40パーセントくらい?
 というのは、杏さん曰く「予知できる未来」というのは変更可能あるいは変わってしまう恐れのあるもので、本当に不可避であるなら、そもそも「予知できない」、そしてそれを彼女は「それこそが神さんのご配慮」だと断言しているからだ。
 つまり、こちら側の働きかけで結果を変えることが可能かも知れないのだ。
 俺は人知れず気合いを入れた。

 最初の店は「カレイドスコープ」だ。店に入るなり、杏さんはパティシエを呼び、何か耳打ちした。かすかだったが、「電話したとおりに……」「……承知しております」ってなやりとりが聞こえたから、やはり予知して事前に仕掛けをしたのだろう。
 よし! 勝率が50パーセントに上がったな。もちろん、美悠那に対する勝率ではなく、杏さんに対する勝率だ。
 モンブランが並べられた頃、俺は杏さんの目を盗んで、美悠那にメモを渡した。内容は「今日行く店の順番と時間は、厳密に決まっているのかどうか、杏さんに気づかれないよう、こっそり俺だけに教えて欲しい」だ。もちろん、途中、コンビニのトイレを借りて書いておいたものだ。
「よろしゅおますか?」
 と、杏さんが俺と美悠那に言った。
「お二人のモンブランだけ、ちょっと細工がしてあります。もちろん、『スイーツキング決定会議』に差し支えあるようなものとは違います。……お二人とも、『ガレット・デ・ロワ』は、ご存じですか?」
「え? すんません、何スか、それ?」
 首を傾げた俺に、美悠那が言った。
「フランスのお菓子でね、大体一月に作るの。パイの中に陶製のお人形が一個だけ入ってててね、パイを切り分けた時、そのお人形が入ってた人は、その一年間、幸運だっていう、一種のおみくじかな?」
「つまり、そのアレンジどす。お人形の代わりに、ここのシンボルマークの形をした、小っちゃい陶器のアイテムが入ってます。……お二人のうち、どちらかに。で、それを当てた、お人が勝ち、ということにしまひょ」
 なるほど、これなら問題ないな。
「それでよろしいですかなあ、美悠那はん?」
「はい!!」
 と、気合いたっぷりに、美悠那は頷いた。
「竜輝はんも、よろしいな? ……いろいろと」
「……ウス」
 つまり、透視とか霊視とか、「そんなん使うな」ってことだろう。……ていうか、そんな『念』がビンビン飛んでくる。
 もちろん、俺も男だ、ガツンと一発勝負を賭けてやるぜ!

 で、結果は。

 まずは俺の勝ちだ。


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