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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第34回 参之傳 友、来たる・拾壱
「今日は楽しかった。有り難う、天宮くん」
 あのあと、カラオケボックスに行ってデュエットしたり、で、俺たちは遊んだ。いやあ、ありすって結構、歌がうまかったんだな。普段の言動はアレだけど。
 夕方、「今日は大収穫だったわ」とか浮かれている稲桐さんたちと分かれ、俺たちは千京市に帰って来た。そして戸賀中を、宿泊しているというホテルまで見送った。
「本当に有り難う、このぬいぐるみ、大切にするね」
「あ、……ああ、有り難う」
 なんか、ものすごく抱きしめているのを見ると、こっちも悪い気はしない。
「竜輝は巨乳好きかぁ……」
 と、俺にだけ聞こえる声で珠璃が「ぼそり」と呟いたが、ここは無視しておく。
「天宮くん、お盆にはお墓参りに帰って来るのよね。そういうの、大切にする人だから」
「まあな」
 すると、ちらっと珠璃を見てから、俺を見る。
「その時がチャンス……かな?」
 何のことを言っているのか、とりあえず「わからないこと」にして、俺は珠璃と一緒に帰路についた。
 その途中。
「竜輝、ボクのこのぬいぐるみ取る時、鎮魂しただろ?」
「……やっぱ、お前にはわかっちまったか」
 そう、実は珠璃のぬいぐるみを取る時にも鎮魂を使って重量を操作していたのだ。
「言っておくが、俺の財布の問題だからな。クレーンゲームって、下手すると、千円使っても一個も取れなかったりするからな」
「……いいよ、それでも」
 と、珠璃は微笑む。
「それより、お前こそ、ダンスゲームの時は俺の動きを『読んだ』だろ?」
「そんなところまではしてないよ。ある程度なら、キミの動きに合わせることは、無意識にだってできるさ」
 こっちが赤面しそうなことを、平然と言ってのける珠璃に、俺は一言だけ言った。
「今日は、ありがと、な」

 家に帰ると、姉貴から電話がかかってきた。遠隔透視で俺を監視してるんじゃないか、っていうぐらいのタイミングだ。何でも、今日のことを宗家に連絡した、とのことで、宗家の方で遠隔呪術により俺の「結界」を強化したらしい。これで、戸賀中も俺にさして興味を抱かなくなるだろう、とのことだった。
 ほっとしたような、残念なような複雑な心境になった俺に、姉貴は言った。
『そうそう、来週辺り、母さんが来るから』
「……は?」
『白修祓の関係で葦河市……隣の市に来るそうだから、ちょっとだけ顔見に来るって』
 母さんは父さんとともに白修祓に出かけているが、行動をともにしているわけではない。詳しい話は又の機会に譲るが、今、この日本国内にいる。ただ、一ヶ所にいる訳じゃなくあちこちに行く必要があって、そんなわけで、白修祓の間、母さんは日本中のあちこちを飛び回っていることになる。
『事前に連絡はくれるそうだけど、お姉ちゃん、今ちょっと忙しいから、ひょっとしたら母さんがいる時に家にいられないかも知れないから、そのあたりは、お願いね』
 そう言って電話は切れた。
 なんか、バタバタする夏休みだな。
 そんなことを思いながら、俺は晩飯の支度にとりかかった。
 ……言っておくが、レトルトとかインスタントばっかりじゃねえぞ? 俺は姉貴が出かける前に書いていった「晩飯の希望メニュー」を見た。
 幸い、俺にも料理できるメニューで、冷蔵庫にも材料が揃っているようだ。姉貴が帰ってくるのは今日も遅いだろう。俺は冷蔵庫を開け、材料を取り出した。
 今夜のメインはスパイスから作る、ベジタブルカレーだ。自動的に俺の明日の昼の献立は決まったな、と思いながら、俺は材料を揃える。
 おまけでパンやヨーグルトもわかりやすいところに、用意しておく。多分、姉貴はこのカレーでカレーパンを作るだろうからな。


(参之傳 友、来たる・END)


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