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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第31回 参之傳 友、来たる・捌
「ちょっといいかい?」
 と、珠璃が言った。なんとなく不機嫌そうだ。
 ま、そりゃあ、そうだろうな。ただでさえ、珠璃にとっては(おそらく)不本意なシチュエーションの上、「密着」とかってデジカメ持ったのがついて回ったりしたら、いい気分のはずがない。
 珠璃は稲桐さんの前に立って言った。気のせいか、後ずさりしたように見える稲桐さん。注意するんなら、ほどほどにしろよ、珠璃。
「稲桐さん、だったよね? キミ、さっき、なんて言ったかな?」
「え? さ、さっき、ですか? え、と」
 と、考え始める稲桐さん。多分、何が珠璃の逆鱗に触れてしまったのか、思い起こしているのだろう。これまでの言動すべてが、そうだったと彼女は気づけるだろうか。
「キミは大きな間違いをおかしているんだよ」
「ま、間違い、ですか?」
 ほんの少しだが、稲桐さんの声に怯えが感じられる。適当なところで、俺がセーブ役に回った方がいいだろうな。
「いいかい」
 と珠璃は言う。
「キミはさっき、こう言った。『美形はみんなの共有財産』だと。……違うね。美形は、全部ボクのものさ!!」
「いきなり、何を言い出すかな、お前は!?」
 いかにもヅカ風のポーズをつけている珠璃に、思わずツッコミを入れた後で、俺は稲桐さんに言った。
「密着がどう、とかいうのは感心できないけど、一緒に遊ばないか? せっかくだしさ」
 人数が増えれば、それだけ「友だちが集まって遊んでる」感が強くなるだろう。……俺以外、全員、女子だってのはとりあえずおいといて。
「望むトコロですッ!」
 なんだか、やたら鼻息荒く稲桐さんが答える。
「それじゃあ」
 と、ありすがゲーセンの看板を見て言った。
「まずはゲーム勝負なのです!!」
「勝負」という単語に、ものすっごくイヤな響きを覚えた俺は速攻で却下した。
「とにかく、今日は普通に遊ぼうぜ!」
 そんなわけで、まずはゲーセンに入ることになった。

 で。
 俺と珠璃と戸賀中はクレーンゲームに、ありすと稲桐さんはプリクラに行ったのだが。
「……プリクラマシンのカーテンの隙間から、デジカメがこっちを向いてるんだが」
 呟いた俺に反応した珠璃は、苦笑いで応える。
「まあ、ここは見逃してあげようよ」
 他のお客さんの迷惑になってるわけではないし、いいといえば、いいんだろうが。
「あ、あのネコのぬいぐるみ、いいと思わないか、竜輝?」
 珠璃が指差す先にあるのはアメショーがモデルと思しきネコのぬいぐるみだ。しかし。
「ちょっと、取り辛ェ位置にあるな」
 俺はゲーム筐体の四方から、ターゲットのぬいぐるみを観察する。
「まずは取り出し口近くの恐竜を出して、あのワン公をどかして、ガ○ャピンモドキを引っ張り出して、ネコのタグに引っかけてあそこまで出して……」
 いろいろと頭の中でシミュレートしてみるが、このシミュレーションがすべて成功したと仮定しても、最低七回は必要だ。となると……。
「よし、待ってろよ、珠璃」
 俺はコインを投入してアームを動かした。そして。
 ゴトリ、と音を立ててアメショーのぬいぐるみが出てきた。予定通り、七回で。
「ほらよ、珠璃」
 と、俺はぬいぐるみを珠璃に渡す。
「わあ。有り難う、竜輝!!」
 実は無類のネコ好きの珠璃が、渡されたぬいぐるみを、ギュッと抱きしめた。


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