小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第30回 参之傳 友、来たる・漆
 そんで、見事に鉢合わせになっちまったわけだ。……ありすと、ゲーセンの前で。
「ををををををを! イケメン先輩、両手に花です!」
 などと叫んでるありすと、一緒にいる女の子が一人。
「初めまして、私、新聞部の稲桐 一子(いなぎり いちこ)と申します。ありすちゃんと同じクラスです」
 なんて言いながら、女の子はポシェットからデジカメを取り出す。そして。
「噂のイケメン先輩と生徒会長との禁じられた恋……! これは大スクープだわ!」
 なんてことを言いながら、カメラの調整をしている。
「おい、ありす。お前のクラスメイト、多分、考えてることが口から、だだ漏れになってンぞ?」
「いっちゃんは、裏表がない人格者なのですよ」
 と、ありすは自慢げに胸を反らしたが、絶対違うと思う。
「なあ、稲桐さん、だっけか? 何で、俺と生徒会長の『禁断の恋』なんだ?」
 慌てて自分の口を手で押さえた稲桐さんだが、リアクションが遅いって。
 開き直ったのか、稲桐さんはカメラを構えながら言った。
「イケメン先輩も生徒会長も、あと、美悠那先輩も、美形はアイドル、不可侵の存在です! それは美形同士であっても鉄則! 美形はみんなの共有財産なんですッ! まして珠璃先輩は、生徒会長、いわば公人! すべての生徒の憧れの頂点に立つお方!! そんなお二人のデート現場が、スクープでなくて、なんでありましょうや!!」
 と言いながら、いろんなアングルで写真を撮る稲桐さん。……あー、ありすの友人に間違いねえや、こいつ。ていうか。
「いや、これはデートじゃなくて、昔の友だちが遊びに来たんで、一緒に遊ぼうってなっただけなんだ。それにそもそも俺と珠璃は……!」
 一瞬、戸賀中の目が妖しい光を放ったような感じがして、俺は言葉を止めた。
「そもそも、……なんですか?」
 稲桐さんがカメラを降ろす。
「いや、その、なんだ……」
 俺は槍のような戸賀中の視線を感じながら、言った。……否、言わざるを得なかった。
「み、みんなには内緒の仲なんだ」
 まあ、嘘ではない。
「内緒? やはり、そうでしたかッ!」
 再びカメラを構える稲桐さん。ああああ、なんか、ドツボに、はまっていく感覚って、こういうのだろうか?
「というわけなら、これはぜひ、今日一日、密着するしかないわ! それがジャーナリストとしての務め!!」
 おそらく本来ならモノローグになるはずの言葉が、またしてもだだ漏れになっている稲桐さんに、何やら考えている様子の珠璃。
 とにかく無事に今日一日を乗り切ることが至上命題だな。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 213