んで、事前に戸賀中のケータイに電話して、彼女が泊まってるっていうビジネスホテルの近くにある公園まで珠璃と行ったんだが。 ……ま、なんていうか、珠璃は「芸能人だ」といっても通じるほどのルックスとプロポーションなのは間違いない。胸も、高校生とは思えないほど発育していると思う(俺の主観だけどな)。しかし喩えるなら、珠璃は美乳、戸賀中は爆……。 「なんか、失礼なこと考えてないかい、竜輝、ン?」 笑顔なんだけど、どこか殺気の感じられる笑みで珠璃が俺を見る。 「い、いや、別に……」 「あれ? どうして、目を逸らすのかな? こっちを向いて、ボクの目を見て言ってごらん?」 ほんと、コイツ勘が鋭いな。気をつけないと命がいくつあっても足りそうにねえや。 「え、と、ゴメン、天宮くん、紹介してもらえるかな?」 戸賀中が割り込んできた。 「ああ、ごめん」 と、俺は慌てて、応える。ここはこっちに流れを変えよう。 「こっちに来てから、つき合うようになった女の子で、鬼城珠璃さんだ」 「よろしく」 と、珠璃が微笑む。 次に俺は珠璃に戸賀中を紹介した。 「俺が、以前通ってた高校のクラスメイトで、戸賀中さん」 「よろしくお願いしますね」 そう言って戸賀中がお辞儀した時、なんか、やたら胸の谷間を強調していたように見えたが、気のせいか……。じゃねえ! 戸賀中のヤツ、胸元が思いっきり開いた服着てやがる。いいのか、女子高生がこんな格好して!? ……失礼。角度の問題だな。あと、俺との身長差。この関係で胸元がやたら開いているように見えるんだ。しかし、それだとしても、結構ヤバ目の服だ。角度とか身長差ってのを割り引いても、やっぱり胸の谷間を強調してる服に違いはない。ていうか、こんなにはっきり谷間が見えるって、まさか下着つけてねえんじゃねえか、戸賀中? 「それじゃあさ、天宮くん。どこかで三人で遊びましょ?」 「……はい?」 「せっかくここまで来たんだし。ね?」 「まあ、確かにな。珠璃と顔合わせだけして『ハイ、さよなら』ってのも味気ないが」 と、珠璃を見ると。 「ボクは構わないよ」 と、珠璃も頷く。 「そうか。……つっても、北斗のあたりは、よく知らねえんだよなあ。珠璃、このあたりで遊べるところってあるか?」 「隣街に入っちゃうけど、カラオケとかゲーセンとか、あるよ。このあたりはいわゆる『商業区』だからね。もっとも、隣街側だけど」 そういえば、珠璃は隣街に住んでるが、エリア的には北斗に近かったっけ。 俺はこの五月にここに越してきた。その間、いろいろと見て回ったり、案内してもらったから、千京市内だったら、大体のことはわかる。といっても、遊べる場所が多いのは中心街の宝條とか美嶋南ぐらいって程度だけどな。だから、俺より前にここに越してきた珠璃の知識に頼るほかないだろう。 「そういえば、戸賀中さんが宿泊してるビジネスホテルも、位置的にはほぼ市境だし、宝條へ行くよりは、このまんま隣街の葦河(あしかわ)市に入った方がいいと思うよ」 というわけで、俺たちはバスに乗り、葦河市に向かった。
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