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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第27回 参之傳 友、来たる・肆
 俺には、天宮流神仙道宗家の実子という「立場」上、異性と深い仲になれない、という呪術がかけられている。しかし、それではいろいろと問題もあるだろう、というわけで、胡桃という「姉貴」がいるのだ。
 宗家では宗家を継がせる、と見込んだ子どもが、男児なら姉、女児なら弟に当たる子どもを(もちろんその時の宗師の「見立て」で)養女または養子に迎える。これは常に「アマテラスとスサノオ」の関係に擬するため、と表向きの説明は、なっている。しかし、これはいくつかある理由の一つ。主な理由は「房中の法」の故(ゆえ)だと、宗師から聞かされたことがある。
 早い話、「エッチ」の話だ。「霊的に劣等な人間とは『情』を交わしてはならぬ」。ならば、天宮流に伝わる「房中術」をどう修練するべきか。その相手として、その時代の宗師による見立てで、主に高弟の家系から養女または養子をとるのだ。
 つまり、姉貴とは「そういう関係」を前提にしているわけで……。
 おっと、それ以上は考えないようにしよう。
 それはさておき、現時点で考えるべきは戸賀中だな。ここまで追いかけてくるという行動力を考えると、彼女に呪術が効いているとは考えづらい。となると、適当な理由をつけて俺のことを諦めてもらうのが彼女のためでもあるのだが、さて、どういう理由をつけたものか。
 普通に考えれば「君のことは友だちにしか思えない」とか何とか言うのがいいのだろう。しかし、前いたところからここまで来るのは、正直、時間も金もかかる。それだけの労力を使ってやって来た相手に対して、あっさり、そんなことを言ってしまうのも少し気が引ける。それにそれだけの苦労をして来たということは、彼女にも相当な覚悟があるはずだ。
 俺がどうしたものかと思っていると、突然、ケータイが鳴った。珠璃だった。
『なんか、竜輝が困ってるような気がしたから電話してみたんだけど』
 と、彼女は言う。いつものことだが、こいつの勘の鋭さは人知を超えている。いい加減、恐ェな。
「いや、実はさ……」
 と、俺は事情を簡単に説明した。すると。
『なら、簡単だよ。こっちに越してきてからカノジョができたってことにすればいい』
「いや、そうは言うけどさ……」
『いるじゃないか、適役が』
「は?」
『ボクだよ、ボ・ク』
「……」
『適役だと思うんだけどなあ』
 確かに、珠璃ならいろんな意味で、適役だし何の問題もない。しかし、ここで「じゃあ頼む」と簡単に答えるのも、珠璃の軍門に降ったみたいで気に入らない。
 でも。
 ……それが一番いい手なんだろう。
「……じゃあ、頼めるかな?」
『……いいよ』
 うぐ、ケータイの向こうで、珠璃が勝ち誇ったような笑みを浮かべているのが、手に取るようにわかるなあ。
 かくして、俺と珠璃は俄かカップルということに、相なった。


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