小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第18回 18
 理科室に場所を移し、適当に椅子を並べて座ったあたしたちの前に、直立不動で「気をつけ」している白骨標本。
「……あっれぇ?」
「どした、竜希?」
 首を捻ったあたしの顔を紗亜羅が覗き込む。
「いやね、あたしたち、そもそもここに何しに来たんだっけ?」
「正気に返っちゃダメだよ、竜希」
 まあ、確かにこのシュールな光景を真面目に考えちゃダメだな。
「それじゃあ、人を寄せ付けない結界もそろそろ効力無くなるから、ちゃっちゃとやっちゃいましょう」
 あたしが言うと、紗亜羅が頷いた。そして咳払いの後、えらく硬い感じで言った。
「では、次の方。お名前は?」
「え? そっから始めるの!?」
「こういうのは、気分も大事だからさ。……で、お名前は?」
 標本は少しだけ首を傾げる。そして。
『ああああああああ、思い出せない、思い出せないわぁ!』
 頭を抱え、わめく標本。
「困りましたね、自己紹介もできないようじゃ。この世界は『自分』を主張できないと、すぐに埋没……」
「じゃ、じゃあ、さっそく歌を歌ってください!」
 慌ててあたしが、ノリノリの紗亜羅の言葉に割り込む。
『……はい』
 少し、しょげ気味ではあったが気を取り直し、標本は歌い始めた。……不気味な音程で。
「んがっ!? なんだこりゃ!?」
 思わず顔をしかめるあたし。見ると、紗亜羅も眉根に皺を寄せまくっている。
 そうか、あの不気味な唄声は、怪奇の効果なんかじゃなく、ただ単に音痴なだけだったんだ。
 と、紗亜羅が両手をパンパンと打ち鳴らしながら言った。
「はいはい、もういいわよ。まったく時間の無駄だったわ。今からなら最終便に間に合うから、すぐに荷物をまとめて空港に向かいなさい」
 いったいどういうドラマが頭の中で展開しているのか、さっぱりわからないが、紗亜羅がそんなことを言った。すると。
『……見てなさいよ、きっと、きっとあなたたちを「ギャフン」と言わせてみせるんだから!! ブロードウェイの舞台に立つ私を見て、自分たちの劇団に入れなかったことを、後悔するがいいわ!!』
 直後、崩れるように標本が床に倒れた。霊の気配も、もうない。
「……どこかへ行ったのか?」
「多分ね。少なくとも、成仏はしてないわ」
「でも、これで一個、怪奇が解決したじゃん」
 いいのか、ホントに?

 その後、標本を元にあったところに戻し、学校を出たあたしは、学校を振り返る。
 変わらずエネルギー場は異常なままだ。再封印するまで、頑張らないと。
 今回みたいな、おバカな事件ばかりとは限らないしね。


(完全なる番外之傳 もう一つの「物語」〜唱う白骨標本〜・END)


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 71