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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第15回 完全なる番外之傳 もう一つの「物語」〜唱う白骨標本〜・参
 放課後、あたしは高瀬さんに呼び出された。
 といっても、喧嘩ってわけでも艶っぽい話でもない。
「遠回しに話すのは苦手だから、直(ちょく)に聞くな。天宮さん、あんた、美悠ちゃんや珠璃ちゃんたちの『やってたこと』の続きをやりに来たんだろ?」
 あたしはわざと、惚けてみせる。
「みゅうちゃん? 誰、それ? それに『やってたことの続き』って?」
 フッと笑みを浮かべると、高瀬さんはスカートがまくれてショーツが丸見えになるのも構わず、あたしの頭に向けてハイキックを放ってきた。しかも、ただのハイキックじゃない。イバラのトゲにも似たエネルギーをまとった蹴りだ。かわしてもよかったが、あたしは普段はポニーテールにしている。下手すると髪がごっそり持っていかれかねない。
 だからあたしはそれを腕で受けた。……相殺するエネルギーをまとわりつかせて。
「決まり、だな」
 にやり、と、高瀬さんが言った。
 あたしももう、言い逃れをする気はなかった。

「私ね、昔から拳法をやってるんだ。んで、珠璃ちゃんからイロイロと教わって、今みたいな事ができるようになったわけ」
「あの二人がいたのって、三ヶ月もないよね。すごいなあ」
「もともと霊感は強い方だったし、うちは代々拝み屋をやってるんだ。そういうのがあって、このぐらいのことがなんとかできるようになったってわけさ」
 高瀬さんの話によると、彼女は、少しではあるが、美悠ちゃんたちの手伝いをしていたらしい。そして彼女たちが転校していく時に、あたしつまり天宮から、娘が転校してくるはずだから、サポートしてあげて欲しいと言われていたらしい。
「だからさ、なんかあったら、私にできる範囲で手伝うよ。よろしくな!」
 と、高瀬さんは笑顔を浮かべる。
「……ていうか、さ。早速なんだけど」
 と、バツが悪そうに頭を掻きながら高瀬さんが言った。
「変なことが起きてるんだよ、ここで」
「変なこと? 奇怪なことじゃなくて?」
 頷き、高瀬さんは「変なこと」を強調する。
「いわゆる『学園七不思議』ってヤツなんだけど、さ。美悠ちゃんたちが転校していってから、三、四日経った頃からかな。いろいろと起き始めてさ。みんな気味悪がってるし、私の手には負えそうもないし」
 どうもエネルギー場の狂いと関係がありそうだ。それが即、残る封印の破壊に繋がるかどうかは現時点ではわからないが、確認しておくに越したことはない。

 そんなわけで、毎週火曜日の夜に起きるという怪異について、あたしは、さっそく調査に乗り出すことになった。ちょうど火曜日だし。
 いってみれば、初仕事だ。
 話によると、理科室にある白骨標本が、夜中に「唱う」らしい。「唱う」といっても舌も唇もないから、ア音のみのアリアらしい。時間帯が時間帯だけに生徒の中にそれを聞いた者はいないが、聞いたという警備員の身内がたまたま生徒にいたことから、あっという間に噂が広まったんだとか。
 で、深夜の学校に入り込んだ。もちろん、ある種の「呪術」を使って、あたしを「いない」ことにしてはいるんだけど、こうも簡単に入り込めるとなると、ちょっとばかりここのセキュリティが不安になる。
 それはおいといて。
「来なくてもよかったのに」
 今、あたしの隣には高瀬さん改め紗亜羅がいる。着ているのは上はTシャツ、下はトレーニングウェアだ。
「そうはいかないよ。来たばっかで部屋の位置とかわかんないでしょ? 案内がいた方がいいと思うぜ」
「ま、確かにそうだわな」
 何かあったら全力で護んないとね。
 と、その時。
「……歌?」
 紗亜羅の言葉に、あたしも頷いた。
「歌、だね」
 不気味な響きと音階を持ったアリアが聞こえてきた。


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