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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第13回 完全なる番外之傳 もう一つの「物語」〜唱う白骨標本〜・壱
「竜希(りゅうき)、お前、新輝学園女子高校の封印のことは知っておるな?」
 その夜、修行の一つである組み手を終えた後、ジイちゃんがいきなりそんなことを言った。
「うん、知ってる。小さい頃から、耳にハゲジジイができるほど聞かされてるからね」
 あたしが言うや否や、ジイちゃんの拳があたしの鼻先を掠めた。
 一応、あたしも女なんだから、顔を狙うのはどうかと思うぞ、よけたからいいけれども。
 目の前の、祖父にして天宮流神仙道の師匠、天宮 天雷(てんらい)は「ち」と舌打ちしてから禿頭を撫でて言った。
「神条の先祖とともに我が天宮の先祖が仕掛けた四封印(しふういん)のうち、一つが破られた。それを探知した神条の姉妹が潜入して手を打とうとしたのじゃが、封じられた邪神の手下を斃すだけで精一杯じゃったらしい。しかも、その時、奥義を使ったせいで、他所に影響が出たらしくてな、その修正のために、今、二人は学園を離れておるのじゃ。つまり」
「あたしに、その学校に行って、封印を仕掛け直せって?」
 ジイちゃんは首を横に振る。
「封印の術は、実は神条家に伝わっておる。じゃから、お前は邪神が封印を破らぬよう、見張るのじゃ!」
 ビシッとばかりに右の人差し指を突き出すジジイ。危ない危ない、よけるのがもう少し遅かったら、確実に鼻の穴に指が刺さってたわ。
「ち。腕を上げたな、竜希」
「ちょっと、聞いてもいいか、ジイちゃん」
「お師匠様、と呼べ」
 そんな言葉を無視して、あたしは言った。
「ジイちゃんが行った方が、いいんじゃないの? ていうかさ、封印の術を伝えてるとかいう神条の誰かが行けばいいんじゃ」
「それでは修行にならんではないか」
「……何、それ?」
「竜希よ、お前は十六歳ながらもすでに我が天宮流の奥義を会得しつつある。今、ここでその実力を試し、研さんを積んでもよいのではないか、うん?」
 柔らかな笑みで、ジイちゃんは言った。
「ジイちゃん……」
 思わず熱いものが込み上げる。そしてジイちゃんはあたしの肩に右手を置こうとした。
「せいっ!」
 あたしは体(たい)をかわし、あたしの鎖骨の下に貫手を放とうとしていたジジイの腕をとる、そしてそのままジジイの腕を逆手に捻り上げ、足払いをかけた。
 もんどり打ったジイちゃんは一言。
「お前、手加減を覚えろ」
 知るか。
 でも。
「それってさ、あたしに転校しろってこと?」
「まあ、そうなるなあ」
 と起き上がりながらジイちゃんは言った。
「実は四封印を再びかけるには、『日』を選ばねばならんのじゃ。じゃから、お前や神条の姉妹には、それまでの時間稼ぎをしてもらいたい」
「その『日』って?」
「あと、三ヶ月ぐらいかの」
「……」
 言いたいことはいっぱいあったが、とりあえず一言だけ。
「編入試験とかは?」
「そんなもん、予知でも何でもして合格せい」
 次の瞬間、あたしの上段蹴りがジイちゃんを吹っ飛ばしていた。
 それが神仙道を奉ずる者の言うことかっ!?

 かくして、あたしは七月の初めという、とんでもない時期に転校することになったのだった。


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