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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第11回 壱之傳 最大さいきょーの決戦ッ!・拾壱
 世に「甘いものは別腹」という。……ただし、女性限定で。
 そう、正直、俺は甘いものはどうでも良くなっていた。ていうか、昼飯代わりにスイーツって、どうよ、人として?
 美悠那とありすは、これまでのことを互いの「スイーツキング」用のレポート用紙を検討しつつ、残る「カフェ・グリム」「ミスターJ」「エテールノ・ジョイア」でのことを話している。
 こいつら、絶対、人間じゃねえ。なんで、甘いものばかりで一日が過ごせるんだ?
 見ると、零司さんも似たような感じだ。俺と目が合うと、肩をすくめて苦笑いなんてしている。

 さて。
 カフェ・グリムではチョコアイスケーキ、ミスターJでは特製アーモンドケーキで、勝負方法はそれぞれ「リポート勝負」と「アーモンドチップの数」だ。結果はカフェ・グリムでは美悠那が、ミスターJでは俺が勝った。これで星は五分。最後のエテールノ・ジョイアですべてが決まる。
 決まるのはいいが……。
 時刻はそろそろ午後七時。晩飯までスイーツかと思うと、正直、うんざりしてくる。はっきり言って勝負なんかどうでもいいから、ラーメンとか焼きそばとかが食いてえ。
 なんて思ってるうちに、エテールノ・ジョイアについた。ここでの勝負は、なんと値段当て。
 へえ。どこの「ゴチ○トル」ですか、それ?
 なんでも、普通に勝負したんじゃ面白くないから、とパティシエの方から申し出てきたらしい。
 そんなわけで、スイーツはメニューにある生クリームたっぷりの「チョコケーキスペシャル」にもう一手間足したものだという。
 それだと正確な「スイーツキング決定戦」にならないだろう、と思ったが、美悠那もありすも「ラッキー」とかって、喜んでいる。脳に糖分が回りすぎても、判断力って鈍るんだな。しょうがねえ、一口言っとくか。
「なあ、美悠那、『スイーツキング』を決めるんだろ?」
「何言ってんのよ。せっかくだもの、おいしい方がいいに決まってるわ!」
 前言訂正。どうやら、脳の半分が砂糖に変わっちまったらしい。
 んで、勝負だが。
 三角形の先端部分をえぐり取った時、とんでもないものが目に入った。台紙部分に、あからさまに¥マークが見えたのだ。もしやと思い、少しケーキを浮かせると、そこには「¥1470」と書いてある。
 ……なんんだッ、これッ!?
 何気なく離れた位置にいる美悠那の方を見ると、どうも彼女の方には書かれてないらしい。
 これはあれか、俺に勝て、と? それともなんかの手違いか?
 どうも、意図が今一つ読めない。
 俺が、いかなる思惑が秘められているのか、アレコレ考える間にも、美悠那は悩んでいる。
「うーん。普段がコーヒーか紅茶付きで税抜き900円だしなあ。いつもよりクリーム多いし、トッピングも多いし」
「あ!」
 悩んでいる美悠那のそばで。不意にありすが声を上げた。俺の台紙に気づいたか? だが、彼女の位置から俺の台紙までは見えないはず。なんだろう?
「どうしたの、ありすちゃん?」
 美悠那も疑問に思ったらしい。ていうか、みんなの視線がありすに集まっている。
 それに気後れしたように、ありすは言った。
「いえ、な、なんでもないです。ちょっと気になることがあったですから」
「ねえ、ありすちゃん、案外『ちょっと気になる』が重要なヒントになっていることも有り得るの。ちょっと言ってみてくれる?」
 値段の推理に行き詰まっているらしく、美悠那は、ありすに先を促した。
 その言葉に、少し考えてから、ありすは答える。
「宇宙飛行士って、宇宙服着て宇宙に出たあとで、顔とか頭とか痒くなったら、どうするんだろうなあ、って」
「……うん。些細なことに疑問を持つのは、立派な心がけだけれど、全然、関係ないわね。ていうか、どうだっていいことだわね」
 あ、美悠那のこめかみに青筋が浮かんでる。
 そりゃあ、そうだろうなあ。


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