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作品名:「SagaU 神氣学園閑居傳」 作者:ジン 竜珠

第1回 壱之傳 最大さいきょーの決戦ッ!・壱
「それじゃあ、まずは『カレイドスコープ』のモンブランね!」
 美悠那が言うと、
「おー!」
 と、乾 ありす(いぬい ありす)が元気よく右の拳を空に突き上げる。
「ほら、何やってるんですか!? 一緒に、おーっ!って」
 ありすが俺たちを見る。なんていうか、仕方なく俺たちも、「おー」と、数人がやや脱力気味ではあったが拳を突き上げる。
 ちなみに「俺たち」っていうのは、俺、珠璃、杏さん、零司さん、鷹尋、麻雅祢の六人だ。
 終業式を間近に控えた、土曜日朝方の生徒会本部で、訳のわからない気炎を上げる俺たち。
 ……えーと、学園が休みなのに、なんでこんなことになってるんだっけ? なんてな疑問が浮かんでくるほど、ここまでの展開はスピーディーっていうか、変だった。
 ことの発端は確か、「夏期休業中の部活動についての諸注意」作成だったと思う。各部活の顧問の先生が集まってスケジュールを調整し、各部活の活動日程なんかを決める。それをもとに生徒会で「夏期休業中の部活動についての諸注意」のひな形を作成し、文化系の部活を統括する文化局、運動系の部活を統括する体育局に諮る。もっとも「諮る」とはいっても、実質的に先生方が決めた内容の復命なので、決定事項の連絡だ。
 で、各部活についてはこれで問題はない。ただ、珠璃によると、愛好会の中には文化局や体育局に正式に登録されていないものもあるらしい。勝手に集まって勝手に活動している連中で、数はそれほどではないらしいが、生徒会では実態を掴めていないという。それだけに、スケジュールが正規の部活とブッキングしたらトラブルの元だ。だから、是が非でもこの「諸注意」を配布したいが、実態が掴めていない以上、どうすればよいか。
 たまたま放課後顔を出したところ、珠璃たちが生徒会役員たちとそんな話をしているところに出くわした。そこへ、学生会に用事があってきた、という美悠那が顔を出し、話を聞いて一言。
「あたしにわかる範囲でよかったら、配ってこようか?」
 こりゃあ助かる、とばかりに冊子をバサッと渡したのは、経理だったか。
 かくして、美悠那の人脈により、地下活動をしている愛好会にも「諸注意」の冊子を渡すことに成功したのだった。

「……あれぇ?」
 俺は思わず、首を傾げた。確か、あの時、美悠那が出した交換条件は「スイーツ研で開催する『第一学期末・スイーツキング決定会議』(とやら)に、生徒会も協力すること」だったよな。なんで、俺たちになってんだ?
「なんやら、楽しみですなあ」
 と、杏さんが嬉しそうに言う。
 ああ、そうか。俺は珠璃から「手を貸して欲しい」って呼ばれて、零司さんは杏さんから、鷹尋は麻雅祢から呼ばれたんだっけ。
 ふと、美悠那と目が合うと、美悠那いわく、
「竜輝は、スイーツ研・賛助会員だしね」
 なんだ、その、どこぞの企業体が募集してそうな肩書きは?
 その時、珠璃が俺の肩をツンツンとつついた。
「ゴメン、竜輝。生徒会の面々は塾とか私用とかで、集まりそうになかったんだ。それで、杏さん誘ったら、こういうことになっちゃって」
 本当に申し訳ないと思ってるのか、珠璃は苦笑いを隠せない。
「来ちまったもんは仕方ないし、まあ、いいさ、こういうのも」
 俺は、厭味でもなんでもなく、そう答えた。
「助かるよ」
 と、珠璃は片手を軽く上げて拝む仕種をした。
 俺はいいとして、零司さんと鷹尋は……。
 あ、二人とも、サムズアップだ。表情は微妙だけど、よしとしよう。
 ……このときの俺は、そう楽観していたんだ。
 まさか、あんな出来事が待っていようとは、思いもせずに……。


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