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作品名:SagaEX 神氣学園夢遊譚 作者:ジン 竜珠

第1回
 とりあえず、今いるところは旧名仁学園北校舎だ。だが、半壊したはずの校舎は全くといっていいほど損傷のあとはない。
「ていうことは、夢、か……」
 俺は周囲を見回す。当然ながら、まわりは無人。明るさから推測すると朝方だろうか。時間が知りたいと思って、俺はポケットに手を突っ込む。そして。
「……?」
 スマホを出そうと思ったが、出てこない。
「妙だな?」
 思わず俺は呟いた。
 ちなみに天宮流の修業の中にも夢見術がある。これにはいくつかの種類及び段階があり、最終的には夢を通して高位の神仙界へ自由に行き来するっていうのがあるんだが、俺はまだその段階には至ってないし、この際、それは関係ない。
 要は、俺は「夢を見ていること」が自覚できれば、その夢をコントロールできる段階には達していて、にも拘わらずここは俺の思い通りにならないのが、気になるのだ。
 もちろん、いつも思い通りに夢を制御できる訳じゃないから、ポケットからスマホが出なかったからといって、問題になるほどでもない。だが、どこか気になるのだ。
 まあ、何にせよ、何が気になるのか、この辺りを見て回っていれば何かわかるだろう。俺は北校舎の周囲を歩き出した。その時。
「……!?」
 突然、第三者の気配が『発生』した。細かく説明するとややこしくなるから、ものすごく大雑把な説明と分類に留めるが、夢は「自分自身の内面世界で展開するもの」と「他者との共有世界で展開するもの」、「別の次元世界で展開するもの」そして「幽体離脱時に現実世界で見聞した記憶が『夢』にすり替わったもの」に大別できる。感覚からいって、てっきり俺自身の内面世界で展開している夢だとばっかり思ってたんだが、どうやら、誰かとの共有世界で展開している夢だったらしい。
 なるほど、思い通りにいかないわけだ。ちなみに他者との共有世界っていうのは、特定の個人との共有だけじゃない。心理学者ユングが提唱した「集合無意識」っていうのに、概念的には近いところもある。もっとも、ユングのいう集合無意識っていうのは、厳密には、国なり民族なりコミューンなりで、「何か」に対する「特定の、共通した心理的捉え方」が遺伝する、っていう理論のことをいうのであって、……ていうのは余談。
 まあ、ここら辺の説明はややこしいんで、省略。
 とにかく、どこかの誰かが、ここに迷い込んだということだ。迷い込んだ人は、目が覚めた時には「どこかで見た似たような光景」に記憶と認識がすり替わっているはずだから、新輝学園だとはわからないだろうな。……って、こういう説明もわかんないな。だから、これも詳しい話は省略。
 顔を合わせても、相手の記憶は、相手の都合のいいように改ざんされるから問題にはならねえが、俺はちょっと調べたいことがあるからな。
 そんなわけで、その場を離れようとしたら、突然、目の前にそいつらがいたわけだ。
 正直、ビックリした。まさか、向こうが俺の目の前に現れるとは思わなかったからだが、もう一つある。
「え、と、珠璃に美悠那、だよな?」
 そこにいたのは、鬼城 珠璃(きじょう じゅり)と鳳 美悠那(おおとり みゅうな)だったのだ。
 ……多分。


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