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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第96回 第壱部終幕之傳 封神・参
 イザナミが右の指を突き出すと、その先端から雷(いかずち)が伸びる。俺に届く手前で、零司さんが投げた鳥が、雷光を弾いた。俺はその間隙を突いてイザナミにダッシュする。イザナミがさらなる攻撃に出ようとした瞬間、廊下の天井がぶち抜け、蛍矢さんが降ってきた。そのままの勢いでイザナミに組み付いた蛍矢さんだったが。
『大雷(オホイカズチ)、成りませ!』
 イザナミがそう言うと同時に、その髪が生きているように宙に躍り、雷電を発した。弾き飛ばされた蛍矢さんは一度床でバウンドした後、声もなく倒れ、動かなくなってしまった。
 蛍矢さんが心配ではあったが、それはまず脇にどけて、俺はイザナミに拳を放つ。
『土雷(ツチイカズチ)、貫け!』
 突き出したイザナミの右指から、雷線がのびる。咄嗟に俺自身がまとう雷光でガードするが、向こうの方が出力が上だった。俺は身をひねり、教室の窓をぶち破って、中に飛び込んだ。机や椅子などはもう撤去してあったから、広いスペースに転がることができたが。
「ちと、堪えたかな、こりゃあ」
 イザナミの攻撃を完全には相殺できず、多少ダメージが残ってしまった。全身に、熱っぽい怠さ(だるさ)が残る。だが、弱音を吐いているわけにはいかない。
『……ほう、我のツチイカズチを受けてなお倒れぬとは、汝(うぬ)は『ツチの御魂』を受け継ぎし者か? でなければ天竺の行を修め、『耐性』があるのかえ?』
 ニヤリとしてイザナミが、なんとか立ち上がった俺を見る。なんだ、何を言って……。……あ。そうか、「土雷」って、もしかして!
 そう思った直後、横殴りの突風がイザナミを襲う。廊下という一種のトンネルの中で収束された風は時折、窓ガラスを割りながら、イザナミを撃つ。しかし、むしろ涼しそうにイザナミは風に吹かれているだけだ。
『若雷(ワカイカズチ)、撃て!』
 伸ばした左手から、幾筋もの雷電が走り、風の発生源である鷹尋を撃つ。一声、苦しげな声を上げて、鷹尋は倒れた。
『火雷(ホノイカズチ)、焼き払え!』
 イザナミの胸から、雷が渦を巻き、零司さんを包んだ。一瞬、炎に包まれた零司さんだったが、光球に包まれた杏さんの、蹴りが炎を吹き払った。間髪入れず、零司さんが鳥を投げる。
「呪い来て 身を妨ぐる悪念(のろい)をば 今打ち返す もとのミクラに!」
 零司さんの呪歌を受け、鳥が銀の光りに包まれる。さらに惑乱するようにイザナミの周囲を舞う。その残像が、あたかも分身しているように見えた。そして。
「祓い給え、浄め給え!」
 零司さんの声とともに、鳥の残像が一斉にイザナミに躍りかかり、ヤツを銀の光に包んだ。その光はまるでスパークするように光の飛沫をまき散らし、爆発するように弾けた。
「やった!」
 思わず俺は言った。あれを受ければ、イザナミの霊はともかく、砂堂麗亜の肉体は耐えられない。依代が弱体化すれば、おのずとその力も衰える。勝利を確信した俺たちだったが。
『なかなか面白い座興であったぞ』
 光が消えた時、そこに余裕の笑み、いや、むしろ艶然と微笑むイザナミが立っていた。


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