小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第92回 陸之傳 冥陣(みょうじん)・拾伍
 その気配の主は若い女。写真で見た女に似ていた。
「そうか、お前が砂堂 麗亜(さどう れいあ)か」
 自然と身構える蛍矢だが、麗亜は余裕の笑みを浮かべている。
「あなた、ここの『下』にあるものがお望みね?」
「……」
「隠さなくてもいいわ。あなたの『意識』がどこに向かっているかを読めば、すぐにわかることだもの」
「なるほどな」
 苦笑を浮かべ、蛍矢は言った。
「お前、ここへはどうやってきた? 瞬間移動したわけじゃねえだろ?」
 綺麗な声で笑ってから麗亜は答える。
「ちゃんと車で来て、歩いてきたわよ。あたしたちにとって、ここのセキュリティなんて、あって無きが如きものでしょ? ……それにここは特殊な場所。さっきまであたしがここに潜んでいたのを探知できなくても、仕方のないことよ」
 そして歩み寄ってくる。
「ねえ、あたしと組まない?」
「ああ? どういう意味だ、そりゃ?」
「あたしは『下』へ行く方法と咒を知ってる。でも、あたしだけの力じゃ無理。でも、あなたが力を貸してくれたら……」
「なるほど、ねえ」
 呪文なら、自分も蓮奈から聞いている。だが、それが完全なものかどうか、正直わからない。しかし、この女、砂堂麗亜なら完全な呪文と方法を知っているのかも知れない。
「つまり、お前と手を組めば、金丹が手に入るってわけか」
 一瞬、きょとんとした麗亜は、次の瞬間には、弾かれたように笑った。
「ここの『下』にあるものを知ってるなんて、あなた、ただ者じゃないわね。でも、ちょっと間違い。あれはね、金丹なんかじゃないの。一度、呑んだあたしだからわかる。あれは『神のカケラ』なの!」
 麗亜の瞳は、妖しい光を宿している、気のせいか、その瞳の形は人間とは違うようだ。
「一度、呑んだ? マジか、そりゃあ?」
「ええ。でも、ほんの一部だけね。すべてを呑み込むには、まだ、あたしのほうの『準備』が不足してる。でも、確実にあたしの魂力は増幅されているわ」
 そして天井を仰ぎ、ケタケタと笑う。
 それを見て苦笑を浮かべると、蛍矢は頭をボリボリと掻く。
「金丹かどうかわからんが、姐御も服用したら、あんなンなっちまうのかなあ?」
「何を躊躇しているのかわからないけれど、『神のカケラ』を我が身に受け入れるのはとても快感よ。そりゃあ確かに、それ相応の『身体』になっていないと、四魂のバランスが狂ったり、三尸が暴れたり、場合によっては自分の『中』に畳み込まれている『業』が噴き出してくるけど、それなりに修養できていれば問題ないわ!」
 そう言って、調子の外れた笑い声を立てる。
「そうね、見せてあげるわ、『カケラ』のすばらしさを!」
 言いながら、麗亜は上着のポケットからピルケースに似た箱を出す。そして中から、六角形をしたコイン状のモノを取り出した。暗闇の中でも、琥珀色の光を放つソレは、明らかに普通の薬などでは有り得ない、異様な「何か」だった。
「これが、『神のカケラ』よ!」
 コイン状のものを見せながら、麗亜は再び、高笑いをする。
 そして蛍矢は気づいた。
「……ここの『氣』と、同調してるのか、あれは?」
 はっきりとはわからないが、麗亜の持つ『神のカケラ』と称するモノと、この地の持つ「氣」が共鳴しているような感覚がある。もしかすると、あのカケラを一度でも飲んだ者は、この場所に来ると、精神の高揚状態または、ある種のトランス状態になるのかも知れない。だとすると、蓮奈も、アレを服用したからといって目の前の女のようなハイな状態になるとは限らない。
「……ここにさえ来なきゃな」
 結局それでは「自由」を手にしたとは言えない。
 さて、どうしたものか、と思った時、突然、窓が割れ、何かが飛び込んできた!


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 125