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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第91回 陸之傳 冥陣(みょうじん)・拾肆
 そして、砂堂は禹歩(うほ)を踏みながら、金色の柱に近づくとその中に手を差し入れ、何かを取り出した。金色をした正六角形のコイン状のもの。大きさは五百円玉ぐらいか。
「これが金丹だ。だが、まだ完全に醸成されたものではないが、これだけでもかなりの効果は望める。貴様にこれをやろう」
 そう言って砂堂は私に一枚ほどよこした。私の掌のそれは、穏やかに変色し、透き通った琥珀色になったが、不思議な氣に満ちていることに変わりはなかった。
 その後、例の一件があり、砂堂は世を去った。
 さて、それからしばらく経った頃だ。私は、あの「金丹」と砂堂が呼んだものについて自分なりに調べてみた。だが、私程度の霊視や霊査ではその正体を掴めない。だから、思い切って、服用したのだ。その結果が、今の状態だ。どうやら、金丹が完全でなかったことと私自身の修養が未熟だったことが相まって、四魂のバランスが狂ってしまったらしい。これをうまく制御できれば、魂力の増大を導けたのだろうが、それは今だからこそいえること。
 結局、バランスが狂ったが故に緋勇牙を抑えきれなくなり、私は体の中を喰われた。それでも即、死に至らなかったのは、皮肉にも金丹の作用で生命力が増強されていたからだろう。
 それからあとのことは、お前の方が詳しいぐらいだな。この家の前で倒れていたところをお前に発見され、緋勇牙は一時的に封印、その後、宗師の咒によって、封印した緋勇牙に私の欠損した「部分」を補わせることにより、私はここにこうして生きていられる。
 だが、今でも時折、緋勇牙の制御が弱くなる。そのための呪符であり、縛呪鎖(ばくじゅさ)だ。つまり、私はこの家から、一歩たりとも出ることはできん。それどころか、コンディションによっては何日も眠り続ける。まあ、緋勇牙とその咒のおかげで飲食の必要はないから、餓死することはないが、やはり退屈きわまりない。それに、こんな状態では、いつ、「お迎え」が来るか知れん。
 ……もうわかるな? 今の境遇から私が解放されるには、もはや神仙として成道するほかない。それにはあの金丹が必要だ。だが、私はここを動くことができない。
 私はお前の女になろう。だから蛍矢、お前は今だけ、私一人のための手足になってくれないか?

 蓮奈が言ったことが、果たして何を意味することか、蛍矢は考えないようにしている。今はただ、蓮奈のために金丹を入手することだけを考えればいい。そのために必要な「咒」は、蓮奈が緋勇牙に喰わせた「砂堂の意識」から知ったという。あとの問題は。
「醸成できてなかったら、意味ねえよな」
 思わず呟いてしまったが、まさにそうだった。不完全な状態の金丹を、不完全なコンディションの蓮奈が服用したら。今度こそ彼女は死んでしまうかも知れない。だが、望みがまったくないというわけでもない。
「大バクチだな」
 そう呟いた時、何者かの気配が、目の前に現れた!


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