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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第86回 陸之傳 冥陣(みょうじん)・玖
「私が待機を命じられたのは、新輝北女子高等学校、いわゆる『北女』だった。いずれ異変が起きるから、と。そして、夕刻、確かに『それ』は起こった。妖魔どもの出現だ」
 多少の知識がある蛍矢と栂が、表情を険しくする。
「だが、このことを予見していた宗師たちの先回りで、そのことごとくが人界に現れる前に祓われた。そして……」
 と、蓮奈は一同を見渡す。
「さっきも言ったように、この妖魔は砂堂が召喚したものではない。初めから、新輝学園に、正確には、その『下』に封じ込められていたものだ。それが何らかの事情で溢れたものだ」
 とんでもない発言だ。学園に妖魔が封じられていたと、蓮奈は言う。それがどれほどの重大事を意味するか。だが、蛍矢たちはさほど驚いてはいない。いや、内心はそうではないかも知れないが、もしかすると、薄々はそれに近いことを考えていたのかも知れない。
「その事情ってのが、砂堂による召喚、じゃないんですか?」
 恐る恐る、といった体(てい)で穂津深が言うと、蛍矢も頷いた。
 だが、蓮奈は首を横に振る。
「いや、それは考えにくい。あとで聞いた話だが、学園には、かなり早い段階で宗師が待機していらっしゃったそうだ。だから、砂堂が学園で召喚の儀を行えたとは思えない。あるいは時間差で効果を発揮する『何か』を仕掛けていたのかも知れないが、私は、そうではなかったと確信している。これは、その場にいて、その『空気』を直に感じ取ったからこそ言えることだ」
 そのあと、蓮奈はひと呼吸置いた。まるで、重大な告白をするように。
「新輝学園の方は、完全な結界が張られていた。だから、詳しい状況はわからない。だが、私の方で起こったことは大体わかる。私がいたのは北女。知っての通り、ここもミハシラの経営する学園だ」
 ミハシラが教育産業に参入した時は、その名に「新輝」の文字が入る。これは最初に乗り出した学園経営が「新輝学園」だったがゆえの慣例だという。
「そして、私がいたところにも、異様なモノが現れた。これが何を意味するか、わかるか?」
 俄(にわか)にはわかりにくい謎かけだ。だが、蛍矢と栂は一層深刻な表情になった。栂が一言一言確認するように、言う。
「まさか、ミハシラが研究しているモノと関係が……?」
 しかし、蓮奈は首を傾げてみせる。
「さあ? そこまでは、わからんさ。確かにミハシラは妙なモノを研究しているそうだな? だが、私が危惧しているのは、別のことだ」
「と、仰ると?」
 蛍矢の問いに、蓮奈は幾分、声のトーンを落として言った。
「北女がある場所にも、新輝学園と共通した『何か』があるのかも知れない。それに気づいたミハシラが、あの土地を買い取り、学園を創設した。……もしそうなら、宗家がそれに気づいていないはずがない。なら、なぜ北女には冥神による監視がないのか? 新輝学園と北女との違いは何なのか」
 蛍矢たちが腕を組み、唸る。それを見て、蓮奈が苦笑した。
「すまん、今のは余談だったな。忘れてくれ。……さて、二つ目だ。妖魔どもが砂堂による儀式で現れたのでないなら、そのせいで砂堂の当主が死んだというのはおかしい。では、何があったのか。……もうわかるな? 砂堂は宗師たちによって、討たれたのだ。私の元に現れた異様なモノは、その正体は、はっきりとわからなかったが、砂堂の『意識』を宿した何かだった。私はソレを、我が霊獣『緋勇牙(ヒューガ)』に喰わせた」
 静かに衝撃が広がる。蓮那奈が今言ったことは、宗師たちが、理由はどうあれ弟子を、そして蓮奈からすれば上位に当たる高弟を、粛正したということと同じなのだ。


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