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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第81回 陸之傳 冥陣(みょうじん)・肆
「原則として」だが、日本では家を建てた時、購入した時などには「登記(とうき)」といって、ある種の登録をする必要がある。その際、所有者の住所氏名などのデータが記録されるため、もし登記があるなら、それらを調べれば、どの建物が誰の所有になっているかを知ることができる。これらは公示事項であって、誰でも調べることができるし、知ることができるのだ。しかし、あくまで「建物」から調べることができるのであって、「所有者」から調べることはできない。例えば「宝條一丁目にあるAという建物の所有者が、Bという人物であること」を調べることはできるが、その逆つまり「Bという人物が宝條一丁目にAという建物を持っているかどうか」ということは調べることはできない。紗弥はこれを地道に行ったのである。
 ただし、呪術によってある程度、絞り込みをかけているから、調べる範囲はそれほどでもなかったという。
「絞り込みって、どうやったの?」
 凉が感心しながら、問う。紗弥は自分のミックスフルーツ100パーセントのジュースをすすって答えた。
「志賀専務の部下や友人関係はわかっているから、まず彼らを霊査して、複数の『住居』を持っているかどうか調べて、それを登記で確認して、社員名簿に記載された自宅じゃないものを、実地に確認に行って……。そんなところかしら」
 こともなげに言っているが、これでさえ、かなりの時間と労力が必要だ。
「あとは、それとなくあやしい呪力が働いているエリアをチェックして登記を調べて、それがミハシラ関係者かどうか調べて……」
「勘弁。あたしにゃ務まりそうにない」
 あっさりと音を上げた凉に苦笑いで紗弥は答える。
「えっと、実はいくつか当たりはついてるの。だから、凉には、実地に確認しに行って欲しいのよ」
「実地確認、か。それだったら、なんとかできるかな?」
 安堵の溜息とともに凉は言う。紗弥が今言ったような作業など、とてもではないが、できそうにない。
「とりあえず、市内にはあやしいのはナシ。でも、隣街に三件ほど疑わしいのがあるの」
 と、紗弥は言った。それに応えるように、凉は封筒からリストを取り出す。
「そこに書いてあるのが、その疑わしい場所。所有者は一つは志賀専務、二つは一見ミハシラとは無縁な人物」
「一見って、微妙な言い回しだな?」
「まだ親戚関係とかまで、調べてないからね。どこでどう繋がってるかわからないし」
「ふうん」
 と、凉は志賀専務の所有だというマンションのデータを見る。最高級マンションとまではいかないが、それなりに値の張る物件だ。何より、最上階のワンフロアすべてを購入というところがあやしい。
「とりあえず、明後日が土曜日だからな、夕方にでも、調べて見るよ」
「お願いね」
「ところで、さ」
「? 何?」
「もし、この三件がハズレだったら、またリストアップすんのか?」
「まあ、そうなるわね」
「で、お前は、忙しい、と」
「うん。ほかの派閥の切り崩しとか、逆に切り崩しかけられるだろうから、それに対する防御とか裏工作とか、もうたいへん」
「じゃあ、リストアップするのは……」
 紗弥は黙って凉を見る。
 しばしの沈黙ののち。
「冥神のほかの奴にブン投げるわ。あいつらも暇だろ?」
 明後日の方を見て、凉は言った。
 それを聞き、紗弥は苦笑するのみだ。


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