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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第57回 番外之傳 ある休日、ある野望・参
 優硫(まさる)曰く、
「遊ぶなら、宝條(ほうじょう)とか美嶋南(みとうみなみ)なんだけど、あのへんは先生が見回りでうろついてるからな、北斗(ほくと)辺りが無難なんだよ」
 とのこと。だから、午前中は自宅学習だというに! 俺も人のことは言えないが。
「ちょっといいか?」
 と、優硫は俺を手招きする。
 側まで行くと、小声で優硫は聞いてきた。
「なあ、麻雅祢(まがね)ちゃんと知り合いなのか?」
「え? まあな」
 そう答えると、いきなり優硫は俺の手を握る。
「……優硫、悪いが、俺にその趣味は……」
「誰がボォイズ・ラブの話をしとるかッ! 麻雅祢ちゃんなんだが、何とか紹介してもらえないだろうか」
 ……ははぁん。こいつ、麻雅祢のこと狙ってやがるのか。
 俺の表情から何かを読み取ったか、優硫が頭を掻く。
「前から思ってたけど、お前って、けっこう勘が鋭いよな。そうだよ、俺、この四月に彼女が入学してきた時から、気になっててさ。でも、彼女って、なんか無愛想っていうか無表情っていうか無口っていうか。でも、そこがミステリアスで、またそそるっていうか」
「お前の性癖には興味ねえんだがなあ」
「まあ、そんなわけで、きっかけも掴めないしさ」
 優硫はチラチラと麻雅祢の方を見ながら話す。麻雅祢はただ、もくもくとケーキを食っていた。
「俺、思うんだけどさ、麻雅祢ちゃんって、絶対ツンデレだぜ」
「……は?」
「なんていうの、最初は『つっけんどん』な感じだけど、だんだんと打ち解けてきてさ、二人っきりになったら腕からませーの、肩に頭をのせーの、潤んだ瞳で俺を見上げーの」
 なんだか、ピンク色の平原に行っちまったようだ。できれば、このまんま通りに置き去りにしておきたいところだが、手を握られて離さねえ以上、こっち側にお戻りいただくほかあるまい。
「あー。一応、言うだけは言うけど、期待するなよ?」
「友よ!」
「ハグは勘弁な」
 優硫の体勢から先読みをして牽制をかける。一瞬、体の動きが凍ったように見えたが、すぐに解凍状態になった。
「ああ、よろしく頼む」
「こちらもよろしく頼まれてくれるか」
 突然、第三者の声が飛び込んだ。よく知ってる声だ。声のした方を見ると、五メートルぐらい先に凉さん。
「……碧海、センセ?」
 ギギギ、て感じで首をひねり、凉さんの姿を見つけた優硫が、かすれた声を出した。
「お前ら、揃いも揃って、何やってんだ、おい?」
 ニヤつきながら、近づいてくる。ふとブルーウィングの方を見ると、麻雅祢以外、姿が消えている。もっとも、相手が凉さんである以上、隠れるのはまったく無駄な行為だ。……仮にも道士だからな。その辺はみんなも知ってるだろう。これは、ある種の条件反射という奴だ。
「宝條なんかに来るバカは、いないだろうからって思って、こっちに来て見たら、見事ビンゴか」
 優硫はひきつった笑みを浮かべている。どうやら、前にも似たような状況に出くわしたと見た。
「そうだなあ」
 と、凉さんは、店の外に出してあるメニューボードを見ながら言った。
「レアチーズケーキと、紅茶のセットで手を打ってやるよ」
 すると、トイレに隠れていたらしい零司さんたちが出てきた。
「新作のマンゴータルトも、絶品どす。いかが?」
 余裕こいた杏さんの言葉に「それも、もらおうか」と答え、凉さんは椅子に座った。
「なんだ、天宮、福殿。座らんのか?」
 まったく裏のない笑顔で、凉さんは俺たちに声をかける。だが、優硫は、ガッチガチに固まったままだ。
「見つけたのが、あたしで本当によかったなあ」
 本当にそう思う。その分、高くつきそうだが、おかげで、お喋りも弾みそうだし。ただ、優硫だけは、危機感全開の様子だったが。


 んで、おまけ。鷹尋の「着せ替え」はもちろん却下。優硫の恋のさや当ても……。
 頑張れ、優硫! 希望は持ち続けることに意味があるんだぜ! としか、言えない結果に終わってしまった。



(番外之傳 ある休日、ある野望・END)


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