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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第56回 番外之傳 ある休日、ある野望・弐
 オープンカフェ「ブルーウィング」は、住宅街と商店街との境にあった。ただ、坂道を上った、ちょっと奥まったところにあり、確かにわかりづらい。なんとなく「隠れたスポット」っていう感じの、いい雰囲気の店だ。今日は晴天ということもあり、多数の客が予想されたが、平日の午前中なのでさほど混雑していない。
「まずは、再会を祝して、カンパーイ!」
 零司さんの乾杯の音頭で、ささやかながら再会記念パーティーが始まった。とりあえずは、近況報告やら、学校での様子やらの報告が先だったが、大体は、普通の学生生活と変わらない感じだ。ただ、強いて言うなら、最近の学園の「気」は、やはり変だという話題が、一般の学生とは違うところか。
「具体的にはわからないんだけどね」
 と、零司さんが言う。鷹尋も頷きながら言った。
「なんか、最近になって、どこか『妙』だよね、はっきりとわからないけど」
 杏さんも、頷く。
「奥歯に物が挟まったような言い方で、堪忍して欲しいのやけど、微妙に変わってますのや。ただ、どこがどう、とはわからんのどすが」
 麻雅祢はショートケーキを頬張りながら、無言で頷いている。俺は、前夜、あったことを話した。
 話し終えて、まずリアクションを取ったのは、珠璃だった。
「傷は大丈夫かい?」
 本当に俺を心配しているのがわかる。ちょっと胸が熱くなったぞ。
「え? ああ、たいしたことない。もうふさがってるし」
「本当に気をつけてくれよ。キミに何かあったら、ボクは……」
「おやおや」
 と、杏さんがイタズラっぽい微笑みを浮かべる。
「まだ六月やのに、もうすでにアツイ季節を迎えたお人たちが、おりますなあ。うらやましいわあ。そういえば、竜輝はんは美悠那はんとも仲良かったのと違いますか? 珠璃はんも、苦労するやろけど、それも恋愛の醍醐味やで」
 ……もういいや。この人にいちいちつき合ってたら、どんな方向に話が行くやらわかんねえからな。
「ボクは、構いませんよ。むしろ、そのくらいのシチュの方が萌えます!」
 だから、ノるなよ、珠璃。
「そういえば」
 と、いきなり話の矛先を、我関せずとばかりに、美味そうにミルフィーユ食ってる鷹尋に向けると、杏さんは、妙な尻尾でも持ってるんじゃないかって感じの笑みを浮かべた。ご丁寧に口元をハンカチで隠している辺り(そのくせ、笑ってるのが見えるようにしている辺り、この人の底意地が見える)、まっとうな話ではあるまい。
「いつも思ってたんどすが、鷹尋はん、うちの女子の制服着せたら、似合うのと違うやろか?」
「ぶ!」
 思わず、鷹尋が吹いた。いやあ、禁句だからなあ。そばで、零司さんが苦笑いしている。みんな、思うことは一緒か。
「せやなあ、せっかくやから、一度着て見いひん?」
「き、着ませんよ、絶対!!」
 全力で拒む鷹尋。そりゃそうだわな。己のアイデンティティのピンチだ。
 着る着ないのと不毛な争いが繰り広げられている時。
「あれ、竜輝じゃね? それに生徒会長に……。なに、何の集まり、コレ? えれぇゴージャスじゃん!」
 クラスメイトの福殿 優硫(ふくどの まさる)が、ブルーウィング近くの通りに立っていた。


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