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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第54回 参之傳 君よ、星を掴め・拾陸
 日曜日の正午前。学園の理事長室に、護代 真吾(ごだい しんご)理事長と石動 紗弥(いするぎ さや)がいた。
「休日だというのに、すまないね、石動くん」
「いえ、構いませんわ」
「実は君に頼みたいことがあってね」
 そう言うと、真吾はデスクの引き出しからファイルを取り出した。
「この人物について、至急、調査してもらいたい」
 ファイルを受け取った紗弥は中を見て、形のよい眉をかすかに動かした。
 ファイルにある人物の名前は「志賀修一」。フルネームは「志賀・ペイモン・修一・アレキサンダー」。対外的には「志賀修一」と名乗っているが、ごく近しい者には「アレックス」と呼ばせているそうだ。
「ミハシラ・メディックスの志賀専務取締役ですね。彼が何か?」
「最近、ちょろちょろと、おかしな動きをしているらしい。そこのところを調査して欲しいんだ」
 紗弥の口元に、意味ありげな笑みが浮かんだように見えたのは、真吾の気のせいだろうか?
「ほう。もしかして、天宮の方でも何か彼について、気になるところでもあるのかな?」
 だから、そう鎌をかけてみたが、紗弥は涼しい顔でこう言うだけだった。
「さあ? 私如きの立場では、何ともわかりませんわ」
 涼やかな笑みからは、何も読み取れない。
「ところで理事長。志賀専務といえば、理事長が根回しにご尽力なさってミハシラ・メディックスの専務職に据えた、いわば派閥の盟友ですよね? そんな彼の身辺調査とは、穏やかではありませんが?」
「君だから言うんだけどね。志賀くん、どうやら、社の研究を私的に流用しているらしいんだ。それが、背任だと後ろ指を指される範囲のことなのか、そのあたりも調べて欲しいんだよ。『身体検査』はしっかりしておかないとならないし。それに、獅子身中の虫を飼っておくほどの慈善家じゃないからね、僕は。もし万が一の時は……」
 と、真吾は笑顔を浮かべてみせる。
 その笑顔に何を見たか、紗弥は一礼し、その場を退座しようとした。
「あ、ちょっと、石動くん」
「? まだ、何か?」
「どうだろう、よかったら、これからランチでも一緒に」
 しばらく考えている様子だったが、紗弥は明らかなビジネススマイルを浮かべて答えた。
「お誘いは嬉しいのですが、明日(みょうにち)から四日間程度の臨時休校について、いろいろと調整しなければならないこともございます。書類ができ次第、提出いたしますので、決裁の方、お願いいたします」
「そうだったね。僕が今日ここに来た本来の目的も、『それ』だしね」
 と、真吾は肩をすくめてみせる。
「それじゃあ、すまないが、午後三時までに書類を揃えてくれるかな?」
「かしこまりました」
 と、紗弥は深々と礼をし、今度こそ、退室した。
「やれやれ」
 と、真吾は苦笑し、デスクの上のコーヒーを口に運んだ。



(参之傳 君よ、星を掴め・END)


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