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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第52回 参之傳 君よ、星を掴め・拾肆
 俺は「氣」を拳に集め、神歌を唱えた。
「いかにして 呪いやるとも 焼鎌(やきがま)の 敏鎌(とがま)をもちて 打ちや祓わん(はらわん)」
 たちまちのうちに、両手に、光に姿を変えた「氣」が集まる。そして右手を刀印(人差し指と中指だけを揃えて伸ばし、後は握るアレだ)に組み、続けざまに次の神歌を唱える。
「八剣(やつるぎ)や 波奈(はな)の刃(やいば)の この剣 向かう悪魔を 薙ぎ払うなり」
 俺の右手が光を帯びて、剣を形成する。それは、ハリウッドのスペオペで描かれた、光の剣にも似て、凄烈なエネルギーを放っていた。
「ほう。さすがは竜の『氣』を操る者」
 余裕ぶった物言いだが、奴の声には明らかに狼狽が見てとれる。そう思った瞬間だった。奴がマッハといいたくなるような速度で間合いを詰めてきた。
 咄嗟に横に跳ぶ。
「なるほど、先手必勝か……、て、オイ!!」
 突っ込んできた奴は、方向転換も減速も停止もすることなく、そのまま突っ込んだ。……落下防止のために設けられた金網をぶち破り、その先にある鉄製のフェンスに体をぶつけていた。フェンスは見事に、ひん曲がっている。しかし、奴は痛みなど感じないかのように向きを変え、開いた左手から、光の弾丸を放ってきた。おそらく「気」の塊だ。光の弾に見えるのはある種の「視力」を持った者だけだろう。
 俺は身をひねり、それをかわす。光の弾は何発かは宙に消えていったが、何発かは本校舎の三階に命中し、壁に穴を開けた。
「まずい! このままじゃ、学校に被害が出る! どうやら、奴の攻撃を無効化しつつ戦わなきゃならないようだ! ……なんて俺が考えてるとか、って思うだろ?」
 俺の言葉に、奴が首を傾げる。
「……思わなきゃ、それでもいいけどな。要は、被害が出る前にお前を倒せばいいことだ!」
 言うが早いか、俺は一気に間合いを詰め、斬り込んだ。奴はよけきれないと思ったか、俺の剣を受け流すと、その勢いを利用して、俺を投げ飛ばした。
 まさか、こんなに見事な体捌きをされるとは思わず、俺はそのまま、本校舎1階目がけて投げ飛ばされた。真っ直ぐ飛んだ俺は宙で方向転換する余裕もなく、本校舎1階の窓ガラスをぶち破り、リノリウムの床でバウンドして、学食の窓ガラスをブチ破った挙げ句、学食の中に転がり込んだ。
「あだだだだ……。っきしょー、油断したぜ」
 立ち上がり、俺は体の関節をほぐす。衝撃で「分解」して周囲でグルグル回っているいくつかの光の多角形を念で集結させ、再び剣にすると、俺は壊れた窓から外へ出た。……ところで、目の前に奴がいた。
 瞬間、衝撃波が襲い来る。それを、自分でも惚れ惚れするような反射速度で斬り裂き、その勢いのまま、俺は奴に体当たりした。奴の体勢が崩れてよろけている隙に、俺はジャンプし、宙で身をひねる。空中で剣を光の玉に変え、右手の拳にかぶせると、着地と同時に俺は奴の背中の目がけて光の裏拳を放った。
 気合い一閃、正確に奴の背中に裏拳がキマる。その位置は肩甲骨の中間すべてをカバーする範囲だ。
 なんとも不快な呻き声を上げ、奴がよろける。次の瞬間、越田さんから、白いガスのようなものが抜け出し、地に吸い込まれていった。
「やっぱりか」
 地に吸い込まれていったということは、越田さんに取り憑いていた何かは、天から降りてきたものでは有り得ない。だから、星の神では有り得ないのだ。おそらく、天に輝いているように見えていた星は、越田さんから投影された光だったのだろう。星を見た時、俺が感じた違和感は、それだったんだ。理由や理屈はわからないが、越田さんの中にあった「何か」が、「何か」の力を受けて天に投影されていたんだろうな。
 ……要するに何もわかってないのと同じだが。
「ここの地面に吸い込まれたってことは、例の『ご先祖の不始末』に関係あるのか、な?」
 いくらなんでも、それは短絡的というものだろうか?


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