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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第5回 壱之傳 白骨は美少女の夢を見る・弐
「久しぶりだね、竜輝」
 笑顔で鷹尋(たかひろ)は言った。こいつには禁句だが、背が高くないのと、いわゆる「かわいい」系の顔のせいで、服装によっては女の子だと思う奴もいるらしい。
 ま、それはどうでもいいことだが。
「去年会った時は、お前、受験生だったよな。ここだったのか、志望校」
「う、うん、まあね」
 曖昧な言葉で、目をそらす。……そうか、こいつもここに入学「させられた」クチか。
「なるほど、天宮の関係者がすでに三人もいるのか」
 俺の呟きに、「え?」と、鷹尋が小首を傾げた。
「まだ、いるよ?」
「まだ、って、ほかにもいるのか?」
「うん」
 ちょっと待て。ほかにもいるって、どういうことだ?
 俺の視線に、理事長は、苦笑いとともに大袈裟に首を振る仕種をしてみせる。鷹尋も苦笑を浮かべて言った。
「多分、一学年に、二人はいるんじゃないかな、天宮の関係者。学園の関係者にも何人かいるしね」
「なんンだ、そりゃあ!?」
 思わず俺は叫んでいた。なんで、一つの学校に同じ一族の関係者が、何人も集まってるんだ!?
「多分、各地の分家の方々も、宗師と同じ危機感を抱いてらっしゃるのではないかな? この学園で、何か異変が起きている、と」
 そう言った理事長の言葉に、しばし、考えてみる。俺が爺さんからこの学校に転校するように命じられたのは、昔、ご先祖がしでかしたという不始末の、いわば尻ぬぐいをするためだ。だが、その内容については爺さんは一切教えてくれなかった。他方、日本各地に散らばっている分家筋からも、この学園にやってきているという。生徒として、あるいは学園関係者として。
 一体、この学園に何があるんだ?
 理事長はしばらく俺を見たが、不意に溜息をついた。
「宗師の杞憂に過ぎないことだが、それでも転校してきた以上は仕方がない。ここでの学園生活を充実したものにしてくれたまえ。それから、ほかの天宮の関係者には話してあることだから、君にも話しておこう」
 そう言って、理事長は一枚の図面をデスクの上に広げる。どうやら学園の敷地の図面のようだ。
「実は去年の春先に、学園の東北部にある山林地区を購入した。どうやら、そこに『困ったモノ』があったみたいでね。学園に起きている怪異は、そのせいらしい」
「つまり」
 と、その先を察して俺は言った。
「そこに何かが封印してあったんだが、不注意でその何かを解き放ってしまった。そのせいでこの学園に怪事件が起きるようになってしまった」
「まあ、そういうことだ。それで、天宮家が宗家までも巻き込んで動いてしまったのは、末席とはいえ、僕が天宮流の弟子の名を持つからだと思う。そう思うと、本当に慙愧(ざんき)の念に堪えない。近いうちに、宗師には正式にお詫びに伺うつもりだ」
 眉を曇らせ、理事長はそんなことを言った。
 ……本当にそうか? こう言ってはなんだが、そんな程度のことで、あの爺さんが転校までさせるか?
 そんな風に思う一方、「案外、真相はくだらないことだったのかも」なんて思ったりもしている。まあ、それは最初に会う予定にしていた女性……理事長の私設秘書をやっているという石動 紗弥(いするぎ さや)さんに話を聞けばわかることだ。
 その時、机の電話が鳴った。
「もしもし。……そうか、わかった。すぐに行く」
 短く受け答えをしてから、理事長は受話器を置いた。
「すまない。実は今日、臨時で、理事会があるんだ。場所は宝條(ほうじょう)の、宝條というのは市の中心部なんだが、そこにあるホテルでね。もう少し時間があると思ったんだが、交通事情も考えないといけないからね。学校の案内については、佐久田くんにお願いしてある」
 鷹尋が頷く。
「そうか。すまねえな、休みの日なのに」
「かまわないって。僕も早く竜輝に会いたかったしね」
 と、輝く笑顔で言う鷹尋。いい奴だなあ、こいつ。
 そんなわけで、理事長室を出ると、俺は鷹尋のあとについて学園の中を散策することになった。


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