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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第47回 参之傳 君よ、星を掴め・玖
 結局、あのあと、すぐに美悠那とは別れた。やっぱり気になるからな、越田さんのこと。美悠那はなんか不服そうだったが、それとなく「杏さんと話をしていて急用ができた」と、身内間で退っ引き(のっぴき)ならない用事ができたことを匂わせた。美悠那の位置からして、俺が杏さんからメモを受け取ったのは見えていたはずだから、美悠那も納得していたみたいだ。
「さて、と」
 俺は、越田さんの気配を探る。静かに呼吸を整え、セメント張りの歩道を「視た」。たくさんの人の「足跡」が浮かび上がる。だが、ほとんどは微かなものだ。微かというより、消えかかっているといった方がいい。人は、行動するたびにある種の霊的痕跡を残すことが多い。その強烈なものが俗に「残留思念」と呼ばれるものであり、これが死者だった場合、いわゆる「地縛霊」だと勘違いされる『モノ』を形成することもある。
 リトロコグニションと呼ばれる超能力は、この痕跡を読み取る能力だ。今、俺がやっているのは、「道を歩いた人の痕跡を追跡する」のに似た行為だ。もちろん、これで越田さんをトレースできるわけではない。「普通に歩く」という行為だけで強烈な霊的痕跡が残るということは、まさに「生き死に」に関する悩みを抱えながらとか、重大な決意を抱きながら、とかいうこと以外には、あまりない。
 じゃあ、俺のしていることに意味はないんじゃないかって思うだろう。確かにこの方法で越田さんがどこへ行ったか、っていうのを追いかけることはできない。今も言ったように、越田さんがこの道を歩く先で重大な何かをしようと決意しているとか、「禹歩(うほ)」のような呪術的な歩き方をしていたんなら、話は別だ。俺がやっているのは、越田さんの「痕跡」の「特定」だ。あれほど妙な「気」だ、まずはその正体の特定が先だろう。
 しばらく視ていた俺は、やがて、妙な歪みを持った「気」を見つけた。これを口で説明するのは難しい。あえて言うなら、何か、例えば何らかの行動をするよう、強引に意識をねじ込まれている感じか?
 俺はその「気」を記憶し、近くの児童公園に向かった。

 だが。
「……ち、読み違えたか……」
 人払いの術をかけ、無人となった公園で先の「気」の探査をかけてみた。越田さんとは無関係だった。ていうか、そもそも女性だった。
 となると、あとは午後九時の屋上だが。
「そうなる前に、何とか手を打たねえとな」
 後手に回るわけにはいかない。実際、どんな事態なのかわからない。もしかしたら、この間のようなバカ騒ぎで終わるかも知れない。だが、どういう事態であろうと全力を尽くす。これが爺さんの教えであり、俺のポリシーだ。

 杏さんは俺から電話がかかると予想していたらしい。そしてその用件も。珠璃に連絡して聞き出したナンバーにかけると、杏さんはこちらから聞く前に、越田さんの住所を教えてくれた。だが。
『越田はんなぁ、変な結界にくるまれてますえ。せやから、霊的な『目』で捜すんは、無理かも知れまへんなあ』
 ……だったら、それを先に言っといて欲しいな。
 と、ぼやいても始まらねえ。俺は、その足で越田さんの家に向かった。
 時刻は午後三時半を過ぎたところだった。


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