小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第46回 参之傳 君よ、星を掴め・捌
「なに、竜輝、天宮先輩とお知り合い? ……あ、そうか、名字おんなじだ!」
 美悠那が初めて気がついたように、両手を打ち合わせる。まあ、学園では珍しい名字だろうが、ちゃんと言わないと親戚だとか、わかんねえよな。
「ま、知り合いっていうか、うちの爺さんから繋がってる親戚な」
「そう、親戚。そやのに、ウチに全然、挨拶に来ぃひんかった薄情モンや」
 はい、きっちり根に持ってました! ……なんていうか、水商売みたいなセリフ言われると、俺がものすごい悪者に見えそうだ。
「まあ、それはおいといて。竜輝はん、ちょいと」
 と、杏(きょう)さんが俺に手招きする。近くまで寄ると、俺にだけ聞こえる声で杏さんは言った。
「さっきの男子高校生、越田さんやけど、知り合い?」
 俺も杏さんにだけ聞こえる声量で答える。
「俺じゃなくて、美悠那の知り合いです」
「そう」
「どうかしましたか?」
「竜輝はんのことやから気づいてはると思うけど、越田はん、妙な『気』にまみれてはるわ」
「そうですね。正体までは、よくわからなかったですけど」
 俺の言葉に杏さんはどこかイタズラっぽい……っていうより、明らかに何か企んでそうな笑みを浮かべて俺に一枚のメモを手渡す。
「ほな、これ、竜輝はんにあげとくわ」
「何スか、これ?」
 開くと、誰かのスケジュールのようだ。
「越田さんのスケジュール、ですね? 占いですか、それとも予知?」
「半々やな」
 メモには、今日この時間、越田さんがここに来ることが書かれてあった。ということは、杏さんがここに来たのは偶然じゃなく、越田さんが来るのを見越していたってことになる。
「つまり、杏さんは、前から越田さんに目をつけてたんですか?」
「三、四日前ほど前からやけどな。それ、あげときます。気張ってや、竜輝はん」
「……それはつまり、『越田さん絡みで何かあったら、『俺が』何とかしろ』ってことですね?」
「さすが、頭の回転は、早うおすなあ」
 にこやかに笑ってるが、目の奥がどこか笑ってないように見えてならない。
「……わかりました。ちょっと気になるのは確かですから、注意しておきます」
「それでこそ、宗家の最終兵器やなあ」
 だから、それはやめてくれって。
「ほな、あんまり竜輝はんを独り占めにしてると、美悠那はんに怒られるさかいな」
 と、杏さんはコウモリの羽根でも生やしてそうな笑みを浮かべ、去って行った。
 メモを見ると今夜九時、学園の屋上で、越田さんが「星に遭う」と書かれてあった。
「『遭う』って『災難に遭う』とかって時に使う字だよな」
 俺はメモをポケットにねじ込んで美悠那のところに戻った。
 ふとわき起こった胸騒ぎは、とりあえず脇にどけて。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 416