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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第43回 参之傳 君よ、星を掴め・伍
 六月一日は衣替えの日だが、金曜日でもある。どうせ一日しかないからっていう理由だと思うんだが、夏服で来てるのと冬服のままで来てるのとは、どっちかっていうと冬服の方が多い。かくいう俺も、冬服で来ている。一日しかないからな。
 教室では三分の二ぐらいが冬服だ。だが、その中でも夏服を着て来ているのがいた。
「おっはよ、竜輝」
「おう、おはよ。夏服だな、美悠那」
 鳳 美悠那は夏服で来ていた。ちなみにこの学園では夏服はただ単に上着がないだけではない。夏服用のシャツ及びブラウスは、冬服の時とは少々デザインが違う。つまり上着にあるエンブレムがシャツにもあるだけじゃなく、肩のところにもまるでワッペンのような学年章がある。ここまで来ると、デザイン云々より夏冬で完全に区分して、買い揃えないといけないように仕向けてるんじゃねえか、って勘繰りたくなる。
 ちなみに夏服はネクタイの色に一色、赤が加わる。冬の間は上着が臙脂色だったので、同系統の色は避けているらしい。
「ね、竜輝。明日、暇かな?」
 俺が席に着くや否や、美悠那はそんなことを言ってきた。
「今のところ暇だけど?」
「オッケ!」
 と、美悠那は笑顔になる。
「あのね、実は今日、美嶋(みとう)にスイーツのお店がオープンするのね。それで、明日、抽選に当たった人にだけ、内覧会があるの」
「内覧会? 要するに味見会、だろ?」
「えへへ。スイーツパーティーってことなんだけどね。それでね、あたしね」
 と、財布からチケットを出す。
「当たってるのよ、パーティーのチケットが!」
 と、幸せそうな笑顔で言う。
「オープン前にやってたイベントに応募したら、当たっちゃった!」
 本当に幸せそうな笑顔だ。ひょっとして美悠那って、甘い物には目がないタイプだろうか? ……スイーツ研なんてのに入ってるから、そうなんだろうな。でも、その割りにはスタイルいいよな。……いっとくけど、セクハラじゃないぞ?
 そういえば珠璃も甘い物に目がないが、アイツはなんていうか、摂る以上のエネルギーを消費してるからな。
「……で?」
 と、俺は答えがわかっていながら聞く。
「だからさ、行かない、一緒に?」
「俺と?」
「うん!」
 えーっと。これは、どう判断するべきか。ストレートに考えれば、デートのお誘いだ。だが、これまで見てきて、美悠那は誰にでもああいう態度をとるってのがわかってる。でも、まあ、甘い物は俺も嫌いな方じゃないからな、姉貴の影響で。それに彼女にはノートの借りもある。おかげで赤点回避は確実だからな。本来ならこっちから何かお礼をするべきだろう。
「ああ、いいぜ」
「オッケー。じゃあ、十時半に美嶋南(みとうみなみ)の市電駅前ね。いやあ、やっぱり男の子の意見も大事よねえ」
「……はあ? なんだ、それ?」
「スイーツ研ってさ、女の子ばっかりだから、どうしても意見とか偏っちゃうと思うの。だから、誰か男子の意見も聞きたいなあって思ってたのよねえ」
 ……まあ、いいけどな。


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