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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第41回 参之傳 君よ、星を掴め・参
 前の学校でも試験前に「試験休み」っていうものがあった。しかし、この学園では試験が終わった翌日にも休みの日があるんだな。
 なんてことを言うと、珠璃が答えた。
「試験の問題用紙見て気がついたと思うけど、一部の学科の試験作成は外部……といっても『ミハシラ』の系列だけど、外部の業者に委託してるんだ。その整理とか受け渡しとか集計とか、いろいろあって、ちょっと先生方がバタバタするらしい」
 今、珠璃は家に来ている。時刻は午前十一時。遊びに来た、ていうのもあるが、もう一つ。もう二週間以上前になるが、俺たちは奇妙な固形物を入手した。黒い板状のもので菱形をしている。大きさは百円玉ぐらいだろうか。最初は冨賀森という化学部の三年生に絡んだ事件で、そしてもう一つはその直後に起きた「バカ爆弾」の事件で。事件の「首謀者」だった霧元という三年生をそれとなく尋問したところ、あっさり「爆弾」の件を白状。
 言っておくが、力ずくじゃねえぞ? 「空調に何か仕込むところを見ていた人がいる」って言ったら、しばらく考えてから話してくれたんだ。やっぱり本人にも良心の呵責があったんだろう。そしてその時「冨賀森さんからもらった」ということで、例の固形物をくれた。五個もらったうち四つはすでに使ってしまったとのことで、一つだけだったが現物が手に入ったのは大きかった。それを凉さんに渡して分析してもらった結果、いろいろと面白いことがわかったのだ。
 ちなみに、霧元さんが仕掛けた固形物は、普通の樟脳(しょうのう)だった。それをどういうわけか霧元さんは、冨賀森さんから「彼が作った『人をバカにするガス』が発生する」物質だと聞かされ、そう思い込んでいたらしい。
「例の固形物だけど、成分のほとんどは、デンプンとかショ糖とか、既知の物質だった。ただ、いくつか分析不能の物質があったらしい」
 リビングで俺はアイスティー、珠璃はホットココアを飲みながら、話していた。
「分析不能? ちょっと興味深いね」
 珠璃のこだわりで「ココアはホットに限る」とか。もう汗ばむ季節なんだがな。まあ、それはともかく。
「霧元さんの話なんかを検証すると、『意識の拡大』とかあったからな、幻覚作用を持つ物質の可能性もあるが、それが彼の離魂を誘発したって可能性はねえかな?」
「そうだね。意識の拡大を利用して離魂するっていう手法もあるわけだから、その可能性もなきにしもあらずってところか」
 人が無意識に離魂するっていう状況は、実は結構、起こっている。その最たるものは俗に「生き霊」という状態だ。何かに強烈に執着し、人なり物なりに依り憑くっていう、あれだ。だが、あの二人はそういうのとは明らかに違っていた。特に四魂のうち一つや二つだけが分離して活動するなんて、相当修業を積んだ道士のやることだ。たいていは特定の御魂の持つ力を抽出して、それで自分の分身を作るっていうパターンだからな。
「じゃあ、竜輝はどう判断する?」
「情報が少なすぎて、断定はできねえけど」
 と、断った上で俺は言った。
「特定の御魂を賦活する、あるいはすべてを活性化させる『何か』があって、それに順応できないあるいはそのモノ自体が未完成で、ああいうことになった」
「なるほど。化学の蒼本(そうもと)先生は、順応できず四魂が中途半端に活性化されて肉体がそれについていけず、昏倒した、ってところかな?」
 まだ情報が少なすぎる。だから断定することは危険だ。それでも方向性を決めておけば、これから類似の事件が起こった時に、対処も変わってくるんじゃないかと思う。
「これでますます『黒』に近くなったね」
「あ? 何が?」
「ミハシラさ」
 あっさりと言い切る珠璃に、俺は呆れるしかなかった。
「だから、ミハシラが作ったとは限らねえだろ?」
 しかし、こいつの直観が侮れないのも、また確か。もしこれから『何か』出てくるようなら、凉さんあたりに相談してみた方がいいかも知れない。


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