小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第40回 参之傳 君よ、星を掴め・弐
「星ちゃん、ちゃんと言いたいこと言わないからだよ! だから、あることないこと話が膨らんでいっちゃんうんだ!!」
 と、当時、美悠那は責めるでもなく言ったものだ。確かに、星一側の言い分を力一杯に主張しようかと思ったこともある。だが、大事なのは、美貴子が「どう感じたか」なのだ。ちょうど、このような状況になって星一が「どう感じているか」が星一にとって問題なように、美貴子にとっても「それ」が重要事であったことに変わるところはない。主体がどちらに移るかという、ただそれだけのことであって、事態そのものはあくまでニュートラルなものだったはずだ。少なくとも、星一はそう思っている。
 ならば、星一が「自分自身」を大切に思うように、美貴子もまた「自分自身」を大切に思っている。そんな状況でお互いが主張していたら、それこそどうしようもない泥沼を生み出し多くの人を巻き込んで迷惑をかけるかも知れない。
 それならば、と星一は自らに向けられる悪意を受けることにしたのだ。
「あの時のことは、実際のところ、どうしようもないことだしね」
 と、星一は言った。
「こんなこと言うのは思い上がっていると思うかも知れないけど、僕は水谷さんを『後輩』としてしか見ることはできない。だから、たとえ放課後に、無人の空き教室に呼び出されて、告白されたとしても、彼女の想いに応えることはできない。その際に彼女が、それこそ決死の覚悟で臨んでいたとしてもね」
 美悠那も困ったような笑みで頷く。
「女子としては、水谷さんの応援したいところだけど、気持ちの問題だもんね」
「それに、地学部ではできないことがあるっていうのも本当だ。美悠ちゃんは知らないだろうけど、今の地学部は天体観測よりも環境問題の方に活動の重心が移っていてね。星を見よう、なんてことを言ってるのは僕を含めて三、四人程度だったっていうのが、現状さ」
 それを聞き、美悠那が溜息をつく。
「ああ、それじゃあ、仕方ないか。星ちゃん、星、見るの好きだもんね」
「まあね」
 そう言って星一は再び、天を仰ぐ。青空に星が見えるはずはないが、それでも彼は、星を捜しているように、空を見ていた。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 255