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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第37回 番外之傳 爆弾魔は独り嗤う・伍
 リミットを外した俺たちにとって、三階建ての実習棟屋上に、地上から直接飛び上がるなど、造作もない。それは「爆弾魔」も予測していなかっただろう。事実、俺たちがヤツの目の前に着地した時、爆弾魔は、えらく驚いていた。そして。
「なるほど。幽体か」
 俺の呟きに、珠璃も頷く。
「顔まではわからないね」
『な、なんだ、お前ら!? どこから来た!?』
「話すと長くなる。お前こそ、何者だ?」
『僕か? 僕は三年A組、霧元 雪三郎(きりもと ゆきさぶろう)だが、何か?』
 ……。
「どうした、竜輝、固まってるけど?」
「え? あ、いや、まあ、なんて言うか。まさか、正直に名乗ってもらえるとは思わなくてさ」
「根が正直なんだろ」
 と、どこか珠璃が笑いをこらえているような気がするのは、俺の見間違いではあるまい。
 気を取り直して。
「何を企んでるのか、話してもらうと助かるんですが?」
 一応、上級生なので、敬語なんぞ使ってみる。
『フッフッフッフッ。いいだろう。話してあげよう。僕はね、ここに仕掛けた爆弾を護りに来たんだ。僕はね……』
 自慢げに胸を反らす幽体。顔は、はっきりと見えないが、薄笑いを浮かべているに違いない。
「さて、と」
 俺は肩を回して関節をほぐすと、右手に刀印(とういん)を作って符形を描きながら、咒(しゅ)を唱えた。
『フガッ!?』
 演説でもしようとするかのようなポーズのまま、幽体は固まった。珠璃が金縛りになった幽体の前に立つ。
「単刀直入に聞くけど、その爆弾ていうのは何? すでに仕掛けたのかな?」
『……』
「アレ? 急にだんまりなんて、どうしたのかな?」
『……』
 珠璃が指の骨を鳴らす。人気投票三位から落ちたことないっていうけど、こういうところ見たら、十位以内に入れるかどうかも疑問だ。
「まいったなあ、ボクはそんなに気が長い方じゃないんだ」
 そう言って、ファイティングポーズをとる。
『待って待って! 言うよ、言うから、痛くしないでよ!!』
 幽体が声を震わせる。そして咳払いをしてから、
『君たちにもわかるレベルまで、降りることができるかなあ、天才のこの僕が!』
 と、のたまう。……やべ、今かなりマジで殴りそうになった。自制じせ……。
『痛い痛い! やめてやめて!!』
 自制できないのが約一名。こめかみに青筋浮かべた笑顔の珠璃が、霊光をまとった拳で幽体をボコっていた。


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