小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第35回 番外之傳 爆弾魔は独り嗤う・参
 木曜日。鳳美悠那親衛隊からの奇襲もなく、ごく平穏のうちに一日は終わろうとしている。しかし、なんだか、妙に落ち着かない。それは午前六時にかかってきた珠璃からの電話のせいだ。
『今夜、動きがあるらしい』
 例の、誰のものだかわからない和魂から、またしても告げられたのだそうだ。
『この場合、あの『密告者』は、『良心』と考えるべきかも知れないね』
 調和を求めるが故、密告する。誰が何のために何をしようとしているのかはわからないが、和魂の主は調和を望み、それを阻止しようとしているのだろう。
 そんなわけで、俺は放課後、一通り見回ってはみたが、さしたる収穫は得られなかった。ていうかね、爆弾とかって、純粋に警察に頼んだ方がよくなくね?
「……って、犯行予告があったわけじゃねえんだよなあ」
 物質的人間による告白でなく、和魂という三次元的実体ではない存在による密告である以上、俺は、そうボヤかざるを得ない。
 そもそも「爆弾」というのも、何かの比喩だという可能性もある。例えば、何か……そう「人間関係」だとか「信頼関係」だとかいうものを「爆破」してしまうものが仕掛けられる、つまりそういう働きかけがあるってことも考えられるじゃないか。無意識のうちに告げるっていうことは、換言すれば、理性的な筋道も論理の後ろ盾もなく、ただただ感じたままを告げるってことだ。密告者がそれを「爆弾」だと感じたのなら「爆弾」と告げるだろうし、「風船」と感じれば「風船」と言うだろう。
 もっとも、珠璃もこのぐらいのことは想定していると思うんだが。
 この間の事件を気にしすぎじゃねえのか?

「というわけで、だな。俺としては『誰かの信頼関係を爆破する怪文書が、夜中のうちに、どこかにバラ撒かれる』っていう推理を立ててみたんだが?」
 見回ったその足で俺は生徒会本部の珠璃のところへ行った。試験週間ということで、幸い珠璃しかおらず、俺は推理を述べてみたのだ。
 珠璃は目を閉じ、うつむき加減でしばらく唸っていたが、ふと顔を上げてこう言った。
「その可能性は、ボクも考えた。いや、正確に言うと昨日の夜、キミに話したあと、そういう考えがボクの脳裏をよぎった。でもね、今朝再びアレを見て、話を『感じた』時、喩えでもなんでもなく、本当に爆弾だと思ったんだ。もちろん、相手の念に感化されてる可能性もある。ボクも修業中の身だからね。だからこそ……!」
 ……ああ。なるほど、そういうことか。こいつはこの学園が好きなんだ。多分「生徒会長」っていう「お役」を仰せつかっているっていう義務感もあるんだろうけど、こいつはこいつなりにこの学園を護ろうとしている。いやはや、俺より何倍も立派な人間だよ。俺は珠璃にみなまで言わせず、片手を上げて制した。
「いや、すまなかった。調べた結果、陰湿な誰かが怪文書バラ撒いてました、っていうのだったら、それでもいいよな。……いや、よくはねえけど、爆弾仕掛けられるよりマシだ。俺たちは、むしろそういう『無駄骨だった』っていう結果をこそ喜ぶべきだよな」
 珠璃が目を見開く。そして満面の笑みになった。
「だから竜輝のこと、大好きだよ。早くボクのモノになってくれないかな?」
 一言、余計だった。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 127