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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第34回 番外之傳 爆弾魔は独り嗤う・弐
 まあ、なんだ。とりあえず美悠那からノート貸してもらえることにはなったんだが。
「すごいね、さすがだよ、竜輝は」
 その夜、凉さんと一緒にうちにやってきた珠璃に、美悠那からノート借りることにしたことを話すと、えらく感心された。凉さんがいたんで、世間話の時、流れで中間考査の話になったんだが。
「鳳 美悠那っつったら、お前、学園のアイドルってヤツだぞ。生徒どもが『極秘』でやってる人気投票で、五位より下に落ちたことがないっていう、生きた伝説だぞ」
「ちなみにボクは三位から下に落ちたことないよ」
 イカの珍味をくわえたまんまの凉さんの言葉やら、珠璃の自慢話やら、とりあえず整理してみた。
「つまり、月夜ばかりじゃないぞ、ってこと?」
 首を傾げながら言った俺の言葉に、苦笑いを浮かべて凉さんは言った。
「途中経過をすっ飛ばして結論だけ言うと、物騒だな。だが、まあ、そういうことだ。鳳美悠那親衛隊、なんてものがあるかどうかはわからんが、気をつけるに越したことはない。ああ、もちろんお前のことなんざ心配してない。お前が手加減できるかどうか、が心配なんだ。『気をつけろ』っていうのは『力加減に気をつけろ』ってことだからな。教育者としちゃあ、気を使うところだよ」
「でも、竜輝だったら、お似合いだから問題ないんじゃないかな。文句言うヤツなんていないさ。それで美悠ちゃんともども、ボクのところ(ハーレムのことだと俺は解釈するぞ)に来るといい。……そうだな、それなら一石二鳥だ。竜輝、是非、美悠ちゃんをオトしてくれ」
 この二人と話していると、確実に一般の人間世界から逸脱していくような気がするなあ。
「二人とも、脱線はそのぐらいにしましょ」
 絶妙なタイミングで姉貴がやってきた。だが、手にしたお盆にはお茶会セットがある。脱線する気満々だ。
「今夜はね、『銘』に思い切り逆らってみたわ」
 言いながら、十分に蒸らした紅茶の香りがリビングに広がる。カップには温めた牛乳が三分の一程度入っている。そのカップに紅茶を注ぐと、甘い香りが立った。
「あたしゃ、紅茶には詳しくないんだけど、『銘』に逆らうってんで、わかったよ。『アイリッシュ・ブレックファスト』だろ?」
 珍味をかじりながら凉さんは言う。人それぞれの好みがあると思うから、口には出さねえけど、紅茶にイカの珍味はいかがなものでしょう、碧海先生?
「その通り。今回はスタンダードに淹れてみたわ」
 そして、俺たちの前にカップを置く。そして並べられるスティックシュガー、チョコ菓子、クッキー。このまんま本格的なお茶会に突入しそうだったので、その前に俺は凉さんに言った。
「なんか話があったんじゃないんですか?」
「ン? ああ、そうそう、忘れるところだった」
 と、珠璃を見る。ここに来るのに、珠璃は凉さんに電話して連れてきたもらったという。夜も遅いしな。
「ゴメン、ボクも忘れるところだったよ」
 ……本題を忘れるな。
「実は、今朝方のことなんだけどね」
 早朝、午前五時のこと。いつもの如く鎮魂など、各種修法を修めていた時のこと。……一応、断っておくけど、朝四時起きは、天宮流の修業者なら当たり前の話だからな。
 うちの事情は、おいといて。修法の流れの中で、珠璃は学園の遠隔探査をしているらしい。最初は、おかしな力場の正体を探るつもりで始めたらしいが、いつの間にか習慣になったそうだ。
「その時、妙なモノが『いた』んだ。それは、誰かの『和魂(にぎみたま)』らしかった」
 和魂っていうのは、一霊四魂の一つで、天宮流の解釈では「調和をもたらす力であり、荒魂を制御する。精神活動としては『親(しん)』に現れる」とされるものだ。
「ただ、少々弱くてね、多分、本人の意志とは関係なく遊離したものだろうね」
「その和魂がどうしたんだ?」
「告げるんだよ、学園に爆弾が仕掛けられるって」
「……はあ?」
 頓狂な声で応えてしまったが、俺の心境はわかってもらえるだろう。
「おいおい、どこの重要施設だ? 爆弾?」
「ボクも変だと思ったさ。それで、今日一日、探査してみた。変なところはナシ。例の和魂の主も特定できなかった。でもね」
 と、珠璃は不意に目元を険しくした。
「この間の一件もあるし、用心するに越したことはないと思う」
 暗に「例の結晶もしくはその背後にいた何者かが絡んでいるのではないか」と、こいつは言っているのだ。


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