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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第32回 弐之傳 疾走する頭脳・拾参
 暗い部屋で、直径十五センチほどの水晶玉を凝視していた女は、それまで明瞭に見えていたはずの映像が突然見えなくなって、舌打ちをした。
「目隠し、されちゃったわ」
 ギシ、と音をさせて、椅子にもたれると、女は再び水晶玉を見る。集中と術を解いた今、水晶玉には周囲の風景が写り込んでいるに過ぎない。
「それは、誰かの邪魔かい?」
 部屋にいる若い男が問うと、女が答える。
「多分ね。おそらく重要な話になったんで、用心のために何らかの術で千里眼を邪魔したんだと思うわ」
「そうか。じゃあ、彼の身柄は?」
「宝條にあるのまでは突き止めたわ、でも、もう今さら遅いわね」
 男は少し考えてから、言った。
「彼は結局、どうなったんだ?」
「彼から、何かが二つほどが遊離した。これって、あなたの目論み通りなの、それとも失敗なの、アレックス?」
 アレックス、と呼ばれた若い男はまた考える。
「さあ、どうだろうな。強烈な感応力で、他者に自分が抱いている妄想を信じ込ませるのは予想していた通りだが、それ以外、特に今の何かが遊離するっていうのは想定外だからね。その意味がわかるまでは、成功とも失敗とも……」
 その言葉が終わらないうちに女が立ちあがる。室内の微かな光が、女の履いたストッキングに刺繍された金色の蝶を、浮かび上がらせる。
「あなたには、期待してるの。失望させないでね」
 そう言いながら、女は椅子に座った男の背後からその首に腕を絡める。
「わかってるよ、麗亜(れいあ)」
 不敵な笑みを浮かべ、男は女を見上げた。
 二人の唇が重なった。



(弐之傳 疾走する頭脳・END)


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