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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第21回 弐之傳 疾走する頭脳・弐
 この一週間は平穏無事だった、というべきだろうか。月曜日に、白骨標本の一件に遭遇、翌日の夜に「浄化」の儀式を実行。それ以降は目立った事件は起きていない。もっとも、七十七不思議については調査は続行している。おかげで、放送部保管のテープが痛んでいただけだったり、ただの「自販機の故障」だったのが判明したり、床の下を通る水道管にヒビが入ってるのが見つかったり。ちなみに対応するのは、それぞれ「七.スピーカーから聞こえる奇怪な声」「十三.別のモノが出てくる自販機」「七十七.決して乾かない床」だ。
 七と十三はともかく、七十二はいくらなんでもまずいだろ? そう指摘したら、七十二はごく最近になって現れた現象だという。さらに言えば、すでに学園側も把握していたことらしい。
 参考までに言っておくと、七は放送部が痛んだテープを気づかずに放送していたことが一度だけあったからだし、十三は七十七不思議にリストアップされた時点ではすでに解決済みだった、いわゆる「噂だけが一人歩き」したパターンだ。だから、調査しても体験者が現れない。体験者が現れないから、ますます神秘性を伴って、話だけが一人歩きをする。
 本当にこんなことのために転校してきたんじゃねえんだけどな、俺。
 あとはごく普通の学園生活だった。火曜日にはクラス担任と顔をあわせたんだが、天宮の関係者、それも父さんとは兄妹弟子の間柄にある人だったから(もっとも、表向き、そのことは内緒なんだが)新鮮味なんて、微塵もないし。
 白骨標本以上の怪異妖異の類(たぐい)も、起きる気配はない。いや、気配だけは異常なんで、異常であるが故にいつ起こってもおかしくないし、また、起きていてもおかしくない。にも関わらず、表面上、平穏な日が続いている。もしかしたら危ういバランスの上に、成り立っている見せかけの平安なのかも知れないが。

 さて、土曜日だ。今日は午後から、人と会う約束になっている。例の理事長の私設秘書をやっているという石動 紗弥(いするぎ さや)さんだ。彼女から詳しい話を聞くことになっていたのだが、秘書っていうのはなかなか忙しいみたいで、時間がとれず、今日、ようやく話が聞けるのだ。場所はウチで。姉貴は今日は仕事が休みということで、朝からお茶会の準備をしている。そして約束の時間。
「お邪魔するよ」
 と、クラス担任・碧海 凉(あおみ りょう)先生も一緒にやって来た。そういえば、彼女も去年あったという「事件」に携わったんだっけ。
「こんにちは。初めまして、だわね、竜輝くん」
 碧海先生の後ろで、明るい笑顔でお辞儀をした女性が、石動さんだ。百七十六センチの俺と、あまり身長は変わらないみたいだ。黒髪をポニーテイルにしてメガネをかけた、目鼻立ちのハッキリした美人さんだ。今はピンクのTシャツにジージャン、白いスラックスっていう格好だけど、スタイルはいいし、この人がスーツ姿で立っていると、「仕事のできる女性」って感じで、ものすごくカッコイイんじゃないだろうか。いや、実際、仕事はできるんだと思う。そうじゃなきゃ秘書なんて務まらないだろうし。
 一方の碧海先生。俺は凉さんって呼んでるが、生徒連中は「凉姉ちゃん」「凉ちゃん」または「姐(あね)さん」と呼んでるらしい。要は面倒見がよいってことだろう。ルックスも、少々きつめの顔つきというのはあるが、間違いなく美人だし、スタイルもモデル並みだ。具体的な数値までは知らないが、いわゆる「巨乳」なので、男子からの評判が高いことは想像に難くない。身長は俺よりも十センチぐらい低いだろうか。青いシャツに白いジャケット、黒いジーパンというラフな格好だ。長い髪を一つ結びにしている。
 二人とも、まだ若い。二十代だろうか。しかし、天宮の関係者だから、もっと歳がいっている可能性もあるが。
 ……口には出せねえけどな、この感想。
「二人とも、上がって上がって!」
 姉貴が玄関まで来て、笑顔で二人を招いた。

 リビングに集まった俺たちは、世間話もそこそこに、さっそく本題に入った。まずは、学園について俺が感じたことを話す。石動さんも凉さんも、短い期間で俺がそこまで認識していることに対し、賛辞をくれた。そして。
「断っておくけど、あたしも紗弥も、あそこの土地と天宮の家がどういう関係にあるか、なんていうのは知らない。だから、知らず知らずのうちに失礼なことを言うかも知れないけど、そのあたりは勘弁な」
「ああ、それなら問題ないッス。俺も詳しくは知らないんで」
「……は?」
 凉さんの言葉に、俺が応えると、二人がともに小首を傾げた。俺の隣で、姉貴が「クス」と笑ったが、もちろん、苦笑いだろう。


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