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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第2回 序之傳・弐
 五月四日、金曜日。
 世間はゴールデンウィークとあって、新幹線の乗車率が高ェのなんの。ちょっと無理して指定席にして正解。俺はお気に入りの曲を聴いたり、窓外の景色を見ながら千京市へと向かった。
 俺の実家は「天宮流神仙道(あまみやりゅうしんせんどう)」という、ちょいとアヤしいモノを伝えている。早い話が不老不死を目指す「神仙思想」をもとにした各種の術を伝える家なのだ。その不老不死っていうのがどこまで信頼のおけるものなのかわからないが、少なくとも宗師たる爺さんは実年齢よりは、見た目は遙かに若い。世界各地の魔物を退治して回る「白修祓(つくもしゅばつ)」とかいう天宮流の修業に出ている父さんも、実際の年よりもかなり若く見える。
 まあ、そこらへんは不明だ。歴代の先祖も死んだんじゃなく屍解(しか)して「仙去(せんきょ)」した、つまり死んだフリしてこの世からオサラバし、生きたまま神仙界に行ったことになってるしな。
 しかし、伝わっている各種呪術や体術は本物だ。もちろん、世間には内緒だ。一応、世間的には、天宮は「旧家」の「名家」で、爺さんは「拝み屋」ってことになってる。仙縁なり神縁ある人のみが天宮の実像を知り、弟子入りしているのが実際だ。
 それは、まあおいといて。
 一時間ばかり経って、ようやく千京市に到着した。駅できょろきょろしていると、見知った顔が出迎えてきた。
「よっ、竜輝。ウェルカム!」
 笑顔で手を振るウルフカットの若い女性。ピンクのTシャツの上に白いジャケット、濃紺のデニムスカートを穿いた女性だ。スタイルもルックスもそれなりにいいから、周囲の視線が集まっている。ちょっと勝ち気な顔つきのその女性が俺の姉貴であり、落ち着き先の家主だ。四年ほど前から、姉貴は千京市で働いている。コンピュータのソフト関係の仕事だそうだ。本来はゲームソフトを作るのが仕事なのだそうだが、それだけでは会社もやっていけないということで、別レーベルという形でいろんな企業とかの電算業務の下請けなんかをやっているらしい。
「久しぶりだね。おっきくなったなあ」
「何言ってんだか。この正月にも会ったじゃねえか」
「わかってないなあ」
 と、姉貴は右の人差し指を左右に振りながら「ちっちっちっち」と言ってみせる。
「男子三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ、だぜ?」
 と、ニヤリ。そして俺の頭をワシャワシャと、なで回す。身長は俺が百七十六センチ、姉貴が百六十五センチ。今は俺の方が背が高いんだが、昔は姉貴の方が背、高かったからな。こういう時はやっぱり、姉貴だなっていうのを実感する。
「さて、うち、行こっか」
 適当なところで俺の頭から手を離すと、姉貴は駐車場に向かう。それを追いかけながら、俺は聞くとはなしに言ってみた。
「姉貴が住んでるのって、ひい爺さんが住んでて、爺さんも若い頃住んでたっていう、あの家だよな? 俺、すっげえ、小さい頃に二、三度来ただけだから、よく覚えてねえけど、なんかものすごい山の中になかったか?」
「うーん、あたしもそう思ってたんだけどね、今、すっごいことになってんのよ」
 車の中で、姉貴が言ったところでは、あの家があった辺りは宅地造成が進み、すっかり高台の住宅地として有名になっているという。四年前に来た時、その変わりように、姉貴もビックリしたそうだ。
「あれから、少しずつだけどリフォームもしてるし、雰囲気も変わってるわよ」
 そう言って姉貴が向かったのは、千京市の東部、東賀(とうが)区というところだった。


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