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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第16回 壱之傳 白骨は美少女の夢を見る・拾参
 放課後、俺は実習棟に来ていた。ここの二階に生物室があるのだという。階段を上がりかけた俺に女生徒が声をかけてきた。
「あら、竜輝? 午後からの授業、いなかったよね?」
 声の主は鳳 美悠那だった。
「ん? ああ、臨時オリエンテーションがあってさ。美悠那こそ、どうしてここに?」
「あ、あたし? あたしはねえ」
 と、「エヘヘ」なんて笑いながら答えた。
「今日はね、『スイーツ研究会』の日だから」
 部活らしい。しかし、なんなんだ、「スイーツ研究会」って?
「『スイーツ研究会』? なんだ、それ?」
「えっとね、雑誌とかでスイーツの美味しそうなお店を研究したり、実際に行って食べたり、ネットでスイーツの美味しそうなお店を研究したり、実際に行って食べたり、街を歩き回ってスイーツの美味しそうなお店を探したり、実際に入って食べたり……」
「ああ、もういいや、その部分だけでお腹いっぱい。ていうか、それ、部活か?」
「正式な部活動としては認められてないけど、ちゃんと文局には登録してあるよ。あ、ちなみに正式な部活動じゃないのは、『ナントカ部』っていう名前じゃなくて『ナントカ研究会』とか『ナントカ愛好会』とかって名前だから、すぐわかると思う」
「なるほど、食べ歩き部、なんてのが認められるわけないわな」
「あー、ひっどーい。これでも新聞部とかに情報提供とかして、学生生活の向上に寄与してんのよ!」
 と、俺の言葉に反応して美悠那は、むくれてみせる。
 それを適当にかわすと、美悠那も笑顔になって言った。
「食べ歩くだけじゃなくてね、自分たちでも作ろうっていうのが、活動の趣旨でもあるの。毎週月曜日は、料理研究部がお休みだから、調理室を借りて、簡単なスイーツを作るのよ。……そうだ、今日はパウンドケーキだから、竜輝もどう? 一時間から一時間半ぐらい待ってもらったら、とーってもおいしい、生クリームを乗せたケーキと、レモンクリームをのせたケーキと、チョコクリームをのせたケーキができあがることになってるんだけど?」
「そうだな」
 と、俺は考える素振りをした。その時。
「うおおーいぃぃ、みゅうちゃん先ぱーい!」
 廊下の端から、一言目から妙に「ハイ」な女生徒の声がした。
「あ。ありすちゃーん!」
 振り返り、美悠那は声の主に手を振る。相手の女の子は、「とててて」って感じで走り寄ってくると、美悠那とハイタッチした。ツインテールとかピッグテールとかって言うんだっけ、髪を頭の両側でポニーテイルみたいにした奴? 背は低くて、なんていうか、中学生かと思った。……相手に失礼だから、秘密だけどな。
「先パイ、研究会に行くですよ! ……ほえ? その男子生徒さんは?」
「ああ、彼は今日、転校してきた……」
「おおおおおぅ! この人が有名な、イケメン転校生さんッスか!? 初めまして! 私、乾 ありす(いぬい ありす)と申します! 以後、お見知りおきを!!」
「……お、おう」
 元気よくお辞儀をする女生徒に、俺は間抜けな受け答えしかできなかった。こういうノリの奴は、あんまりいなかったからな。いや、ここまで突き抜けたヤツが周りにいなかったというべきだな。だから、どう受け答えしていいものか。
 俺のそんな戸惑いを察したように、美悠那が言った。
「ありすちゃん、いいコだよ。竜輝は竜輝のまんまでオッケーだからね」
 乾ありすは、いつの間にか美悠那に抱きついてゴロゴロ喉を鳴らしている。
 俺は、あとで調理室に顔を出すことを約束して、生物室に向かった。


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