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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第15回 壱之傳 白骨は美少女の夢を見る・拾弐
 六時限目の化学の授業に出てもよかったが、せっかく午後の講義は休講という届けがあるのだから、俺は生徒会本部で珠璃といろいろダベっていた。
 早い話が情報収集だ。ただし、コイツなりのフィルターがかかっているから、結局は俺自身で確かめないとならないけどな、それでも情報を仕入れておくのとそうでないのとでは大きな違いだ。
 それでいろいろとわかったことがある。まずは、「表の顔」、いわゆる学園生活関係だ。この学園は基本的に単位制で、試験等で単位が取れれば、(一応、必要出席日数の規定は設けてあるものの)必ずしも授業に出席しなくてもいいらしい。ただし、試験の内容はわりとシビアで、付け焼き刃では通用しないから、比較的授業の出席率は高いようだ。
 それから、学食。原則として午後三時半までしか開いていないが、申請して認められれば、メニューなどいくつか制約はあるものの、午後八時半までやってくれるらしい。これは、運動部の活動で遅くまで残る生徒や、定期試験絡みなどで多くの先生方が残られる時のための配慮とのことだ。
 行事は普通の高校にあるものは一通りある。しかしこの学園ならでは、という行事もあるらしい。その一つが六月・九月・十二月・三月にある「ビジネスアイディア・コンクール」だ。早い話が「商売のアイディア」を生徒から募るのだ。一応、生徒会の主導ということにはなっているが、そのバックに何があるのか、容易に想像できる。「優秀作(策)は、ミハシラ・コーポ傘下の企業で実際に検討する」というから、起業や就職を考えている生徒にとってはまたとないチャンスだし、ミハシラにとっても大きなメリットがあるだろう。
「ボクが理事長を胡散臭く思う理由の一つさ」
 と、珠璃は言う。考えようによってはこの学園が特定の一企業の養成機関と受け取られかねないわけで、そうなると学校法人としての公益性は怪しくなる。しかし、「そもそも経営母体はミハシラだよ。それに優れたビジネスモデルを創出することは、この国の利益にもなる」と、理事長は開き直っているそうで、見ようによっては剛胆、見ようによっては傲岸不遜(ごうがんふそん)。確かに「大人」っていうのは「そういうもの」だが、普通、生徒の前ではそういうものは隠すものではないか? だが、理事長は、珠璃と二人きりのいわばオフレコの会話とはいえ、臆面もなくそういうことを口にするわけで、そこに珠璃は「胡散臭い」ものを感じるそうだ。
 ほかにもまだまだあるが、「表の顔」はこのぐらいにして。
 次に「裏の顔」、といっても、クリミナルな話じゃない。「オカルト絡み」の部分だ。珠璃が転校してきてしばらく経った頃、学園で奇妙な事件が起きたらしい。そしてそれは、その年の、つまり去年の十月頃に解決したそうだ。だが、珠璃はその事件には関わっていないという。
「宗家から厳命があったんだよ、関わるなって。学園にいる天宮の関係者が収拾をつけるからって」
「関係者って?」
「理事長秘書の紗弥(さや)さんと、キミのところのクラス担任だ」
「へえ。で、どんな事件だったんだ?」
「ここの濃密な氣に目をつけた、とある呪術師たちが、ここでいろんな儀式をやろうとしてた。それでグラウンドに魔方陣を描いたり、ある者は裏庭に呪符を描いた」
「……それって」
 と、俺は七十七不思議のリストを見た。
「そう、三十七と五十三は、それなのさ」
 三十七は「グラウンドの魔方陣」、五十三は「裏庭の幾何学模様」だ。
「つまり、ここは外部の呪術師や、そういった組織から目をつけられている。基本的にそういった者たちからの防衛は宗家や、エキスパートの方たちが対応しておられるから、問題はないけど、万が一ということもある」
 俺の体に緊張感が走る。だが、それは不快なものや、恐怖心を呼び起こすようなものではない。むしろ、武者震いというか、自然と気分が高揚してくるようなものだ。
「あのジジイ、こんなことを黙ってやがったのか」
「仕方ないよ」
 と、苦笑混じりに珠璃が言う。
「ここに来て初めて知らされることだし、多分、余計な不安や心配をかけたくなかったんじゃ……」
「こんな面白そうなこと、黙ってやがったんだな、あのジジイ」
「……は?」
 俺は、不思議そうな顔をしている珠璃に言った。
「不謹慎って思うかも知れねえけどな、俺は今、ワクワクしてるんだ。七十七不思議なんかじゃなく、本当に全力でブチ当たれる『何か』があるんだ! むしろ、そっちの方に当たっていきたいぐらいだぜ!!」
「本当に不謹慎だね、キミは。まったく、変わってないよ、昔と。そんなんじゃ、かすり傷ぐらいじゃすまない、いや、命がいくらあったって、足りないんじゃないかな?」
 呆れたような冷めたような、でもどこか慈しむような、そんな不思議な目で俺を見ると、珠璃は口元に笑みを浮かべる。
「その時は、ボクも手を貸すよ。なんといっても、キミはボクのハーレムの筆頭だからね、何かあったらたいへんだ」
「勝手にハーレムに入れるな!」
 俺のツッコミに、珠璃はウィンクで応えた。


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