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作品名:「Saga T 神氣學園封神傳」 作者:ジン 竜珠

第10回 壱之傳 白骨は美少女の夢を見る・漆
 五月七日、月曜日。
 俺の転校初日だ。まあ、転校生ってことで、それなりに騒がれて、それなりに女子からメアド交換を申し込まれて(自慢になっちまうが、俺は結構モテるほうだ)、数学の授業進度が違っててちょいと優越感に浸れたり、かと思ったら、日本史はこっちの学校の方が進んでてちょいとしぼんだり。でもまあ、編入試験は、自分で言うのもなんだが、かなりの高得点だったから、授業についてけない、なんてことはない。
 特に異常な出来事もなく。強いて言うなら、クラス担任が出張でいなかったことが変わったことぐらいだが、名前聞いたら知ってる人だったので……ていうか、天宮の関係者だったので、わざわざ会うこともねえやな。
 ていうか、ほんと、多いな、天宮の関係者! 一体どうなってやがるんだ、ここは?
 それはさておいといて、だ。問題なのは、転校初日に、昼休みに生徒会室に顔を出しておけ、なんて言われたことだ、理事長から。
 有り得ねえだろ!? どこの世界に生徒会室に顔を出せ、なんて早朝にメールしてくる理事長がいる? 絶対、何か企んでる。ていうか、この間の話の流れから考えたら、やっぱり怪異関係だろう。まったく、何をさせるつもりなんだか。
 なので、昼休み、俺はコンビニで買っておいた菓子パン各種とコーヒー牛乳片手に生徒会室に……。
「……と、生徒会室って、どこだ?」
 この間、鷹尋に詳しく案内してもらったのは、研究棟と本校舎、実習棟だけだ。中に入って見た時には生徒会室なんてなかったな。そのほかは外から見ただけ。
 うんうん唸っていると、俺の呟きを聞いていたのか、クラスメイトで長い亜麻色の髪をストレートにした女子が話しかけてきた。
「もしかして、生徒会室に行きたいの?」
「え? ああ、そうだけど」
「じゃあ、案内してあげようか? ちょうどあたしも、シャングリラに行く用事があるから」
「シャングリラ? 聞いたことがあるような……。確か、……思い出せねえや」
 女生徒・鳳 美悠那(おおとり みゅうな)は人なつこい笑みを浮かべた。……ちょっとネコっぽい感じの美少女だな。かわいいっていうのと美人ていうのの中間みたいな感じだ。……すまん、何言ってんだ、俺?
「あそこに、……敷地の東南に見えるでしょ、生徒自治会館が。あれが通称、シャングリラ。あの建物の東側が生徒会、南側が学生会。あたし学生会に用があるから」
「生徒会はわかるけど、学生会って? 前の学校にはなかったな、そんなの? 鳳さん、なんなんだ、それ?」
 靴に履き替え、煉瓦が敷き詰められた遊歩道風の通路を通りながら、俺は彼女に聞いた。
「平たく言うとね。……ああ、あたしのことは『美悠那』でいいわよ。そのかわりあたしも、あなたのことは『竜輝』、って呼ばせてね」
 と、またまた人なつこい笑顔で鳳さん、もとい美悠那は言った。
「大雑把で乱暴な言い方なんだけど、学校行事を学校の側に立って管理運営するのが『生徒会』、生徒の側に立って立案調整するのが『学生会』」
「ややこしいな」
「そうね。めんどくさいって思う人もいるみたいだけど、あたしはいいと思うな」
 そう言って、美悠那は輝くような笑顔を弾けさせた。
「何もかも学校側の押しつけなんて、そんなのゴメンだけど、生徒だけが考えたことなんて、きっと独りよがりな感じになってしまうって思うの。それにこういう形で学校と生徒が歩み寄れるなんて、素敵なことだと思わない?」
「なるほど。そういう考え方もあるか」
 面白いものの見方をする女の子だな。ちょっと興味が沸いたぞ。美少女だしな。……言っとくけど、それだけじゃないからな、念のため。
 やがて、自治会館に着いた。そして回り込んで正面玄関に来た時、俺は唖然となった。なんていうか、学園の敷地にあるような建物じゃねえな。高床とか、モザイクタイルとか、どこのペンションだ、これ? 
「私立っていうのは、やりたい放題だな」
 そんな呟きが聞こえたのか、美悠那が小さく笑う。
「前の理事長の趣味だったみたいよ、こういうタイプの建物。それを今の理事長が『面白そうだ』っていうことで、外壁とか張り替えたらしいわ」
「……ほんとに、何考えてんだ、あの男は?」
 今度の呟きは、美悠那には聞こえなかったようだ。


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