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作品名:必殺剣! サムライマン!・全 作者:ジン 竜珠

最終回 必殺剣! サムライマン!・全
 ここは、とある料亭。時刻は午後九時四十分頃。某官僚と某大手企業の社長が、広間で密談を交わしていた。
「では、此度の公共事業の件、我が社に、ということで」
「うむ。儂にまかせておけば、安泰じゃ」
「これは些少ではございますが……」
 と、社長が小切手を渡す。
「これこれ、政治献金は公明正大でなければならぬ」
「心配いりませぬ。これは私からの、ほんのお礼、いわば、個人的寄付にございます」
「ふっふっふ、社長、お主もワルよのう」
「あなた様ほどでは……」
 そして二人して、ほくそ笑む。
 その時だった! 窓ガラスをぶち破り、石が投げ込まれたのだ!
「な、何やつ!?」
 官僚が窓を開け放つ。季節は冬。満月が冴え冴えとした光を投げかける雪の庭に、まるでSFヒーローのような鎧兜に身を包んだ謎の人物が一人。
「裏でこそこそと取引をし、公正であるべき公共事業を私(わたくし)せんとする不埒な企み、たとえ天が許しても、このサムライマンが、許しはせぬ! おとなしくお上に自訴(じそ)すればよし、さもなくば、今この場で、潔く腹を斬れィ!」
「うむむ、アヤシイ奴。者ども、であえ、であえ!」
 官僚の声に、私設秘書、私的ボディーガード、そして社長のボディーガードが現れ、窓から外へ飛び出す。
 それを見るや、サムライマンは腰に下げたスティックを右手に握る。
「やむを得ん。破邪顕正の剣で、斬ってやるのも、また功徳。縁(えにし)の巡り合わせというもの。よかろう、死をもって罪をあがなう、慈悲をくれてやろう!」
 スティックの先端から、低い唸りとともに紫色の光が板状に伸び、刃を形成する。
 それが合図だったかのように私設秘書たちが、サムライマンに躍りかかった。しかしそれをかわしつつ、サムライマンは舞うような所作で斬っていった。
 雪上に転がる屍を見て、社長が叫んだ。
「こんなこともあろうかと、お連れした甲斐がありました! 先生、お願い致します!!」
 直後、舞い上がる雪煙。そこに現れたのは、黒装束の忍者であった。
「サムライマンとやら、拙者が相手するでござる!」
「うぬ? キサマ、雪上に何ゆえ、黒装束なのだ?」
 サムライマンの問いを、さも「愚問だ」といわんばかりに鼻で嗤うと、忍者は言った。
「知れたこと。これが『忍びの者』の正装だからでござる!」
 そして印を組むと、五人に分身した。
「うはははははは! これぞ忍法『分身の術』!」
 五人の忍者に囲まれ、サムライマンは翻弄される。だが、静かに剣を八相(はっそう)に構え、叫んだ。
「必殺、心眼の剣! 分身の術、敗れたり!」
 ひょう、とばかりにジャンプし、サムライマンの剣が己自身の影を切り裂いた。
 直後、分身していた五人が消える。
「ううむ、よくぞ、拙者がお主の影になりすましていたことを見抜いた。敵ながら、あっぱれ!」
 雪の中から左肩を押さえた忍者が現れる。
「どうやら、次の一手で決着でござるな」
 サムライマンも頷き、必殺剣の構えを取る。そして。
「必殺! 秘剣・雪花(せっか)の舞!」
 サムライマンの叫びとともにお互いの影が交錯する。その直後、忍者が血しぶきを上げて倒れた。
 ゆっくりと歩み寄ってくるサムライマンに向かい、忍者は言った。
「腕を、上げたな……」
「!? その声、もしや!」
 駆け寄り、サムライマンは忍者を抱きかかえた。
「やはり! 覆面ゆえ、わからなかったが、覆面の取れた今ならわかる。あなたは我が父上、私が十歳の時に母と私を捨てた、父上ではありませぬか!?」
「そうだ、お前の父だ」
「父上、何ゆえ、このようなことに!?」
「妻子を捨て、立身出世を願ったが、世間には敵わなかった、ということよ」
 そして忍者は弱々しい笑みを浮かべて言った。
「お前はお前の信じる道を行け。父親らしいことをしてやれなかった私が言うのも、おこがましいが、お前の心眼と剣、曇らせるでないぞ」
 そして忍者は事切れた。
「父上、父上ぇぇぇぇぇぇ!!」
 ひとしきり泣き叫ぶと、サムライマンは忍者の屍を横たえ、立ち上がった。その視線の先にいるのは、今の騒ぎの中、なぜか逃げなかった、先の官僚と社長。
「ま、待て! 金、金ならいくらでもやる! なんだったら、就職先を世話してやってもいい! そうだ、今度の国家公務員一種の試験問題を教えてやってもいいぞ!」
「そ、そうですとも! おお、そういえば、我が社のロシア支店のウラジオストク分室長のポストが空いておりましたな。そこへ口を利いて……!」
「問答無用! 必殺、ハラキリ・クラァァァァァァッッッシュッ!!!!!!!!!」
「どッげぇああああああああああ!!!!!!!!!」
「アーンド、獄門スラァァァァァァァァァァッッッシュッ!!!!!!!!!」
「おろびっぎゃぁぁぁあああああああああ!!!!!!!」
 窓から中に飛び込み、サムライマンは官僚と社長を斬り捨てた。
「破邪顕正!」
 一声、叫ぶと、剣を収め、サムライマンは去って行った。

 だが、彼はまた帰って来るだろう。この世に巨悪がはびこる限り。
 人々の心が踏みにじられる限り!
 弱者の涙が消えぬ限り!!


 ……なんだ、これ?


(必殺剣! サムライマン!・完!)


 あとがき:苦情は一切受け付けません(笑)


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