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作品名:神氣學園滅神傳Reboot 作者:ジン 竜珠

第4回 序之傳 黄泉津御柱・参
「あすこに、私塾を、……学府を建てましょう!」
 明治二年五月。
 天宮流神仙道は、密かに地下に流れる、仙縁のある者のみが参入できる秘教集団である。
「学府、とな? どういう意味じゃ、竹蔵?」
 明治の戸籍制度により、竹蔵は「栂(つが)」という名字をつけていた。天宮流の宗師・天宮 純凱に、竹蔵が言った。
「これからの国を背負う若人たちは、とかく様々な邪念に惑わされやすいもの。そして、あすこにある黄泉津御柱は、人の邪念を吸い取る働きを持っております」
「しかしそれは、禍津霊の働きの一つ。あまりに吸い取ると、地に溢れるのではないか?」
 竹蔵の言葉に、御柱封印のときにいた五人のうちの一人、宮代 依助(みやしろ よりすけ)が疑問を呈する。それに答えたは、五人の一人、桃(とう)源(げん) 又吉郎だ。
「それについては、僕に考えが。どこか別の場所に禍津霊を引き出し、修祓(しゅばつ)すればよいのではないかと思います」
「なるほど、それならば問題ない。それに、修祓や召魂(しょうこん)の、よい修練にもなる。一石二鳥だな」
 顎の髭をさすりながら千代澤 与吉(ちよざわ よきち)が頷く。
「うむ、お前たち、『別津五大高弟(ことつごだいこうてい)』の考えはわかった。しかし、表だって我ら天宮の名を出すわけにはいくまい。さて、どうしたものか……」
「それなら心配ありません」と、磐坂 玄馬(いわさか げんま)が言った。
「僕の祖が藩士をしておりました折、懇意にしていた商家が、いくつかおります。それらの名を借りましょう。それだけの恩は売ってありますでしょう?」
「おお、光田(みつだ)、葉多(はた)、白木(しらき)、ほかにもおったな。よし、その方向で話を進めよう」
 黄泉津御柱のある場所は巧みに偽装してある。「冥陣(みょうじん)」という特殊な法陣が組んであり、一般人はおろか、それなりに修練を積んだ道士であっても、容易に御柱のあるところまではたどり着けない。いや、そもそも冥陣の存在すら気づけないだろう。そこに様々な想念の渦巻く学府を建てれば、ますます偽装は完璧なものとなるであろう。
「よし、いくつかの商家に資金援助をすることにして、学府を建てよう。だが、いつかは……」
 その先は言わずとも皆、理解しているかのように頷く。
「それが明日になるか、それとも百年先になるか。それはいつかはわからぬ。だが『その時』は必ずやってくる。その心づもりだけは忘れてはならぬ」
 純凱の言葉にいかほどの重さがあったのか。その重さを払拭するように咳払いをすると、純凱は玄馬に言った。
「詳しい話は儂(わし)からしよう。玄馬、いくつか『これは』と思う商家を挙げておいてくれ」
 これにはもちろん、その商才だけでなく「口の堅さ」や「信頼できるか否か」も含んだものであろう。
「かしこまりました」
 玄馬が深々と礼をする。


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