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作品名:神氣學園滅神傳Reboot 作者:ジン 竜珠

第27回 参之傳 父・来たる・伍
 曽(そ)根(ね)上(がみ)和(かず)寿(とし)が瑞海宗師に呼ばれたのは、午後九時を少し回った頃、「子(ね)の道場」であった。
 行ってみると、そこには瑞海の補佐である、佐久田白(はつ)鶴(かく)もいる。
「曽根上、何故、ここに呼ばれたか、わかるな?」
 おおよその見当はついているが、まさか「アレ」が知られたわけではないだろう。そう思い、曽根上は正座し、頭を下げたまま、答えた。
「申し訳ございませんが、当方には、まったく心当たりが」
「ほう」
 と、瑞海宗師が目を細める。そして、
「たわけがっ!!」
 と、裂(れつ)帛(ぱく)の気合いとともに、右脚を踏み出す。道場全体、否、この土地そのものが揺れるような感覚が曽根上を襲った。予想だにしない叱責と、大地すら揺らす宗師の「気迫」に、座っていながら曽根上の血が一気に体の下に落ち、軽い貧血が起きる。
 精神的にも、そして物理的にも返答が出来ないでいる曽根上に、宗師はなおも強い口調で言った。
「裏手にある『送魂の陣』、あれはお前の仕業であろうが! 儂を欺けると、よもや本気で考えていたのではあるまいな!?」
 答える言葉が見つからない。それどころか、言い訳すら思いつかない。
 少々落ち着いた声になり、宗師は続ける。
「本来なら、お前が心を改め、陣を撤去するのを待つつもりであったが、竜輝と鬼城の娘にも知られてしもうた。このまま放置しておっては、皆に示しがつかぬ。あのような『無精』をしろと、儂は教えたか?」
「申し訳ございませんっ!!」
 そう答えるのが精一杯であった。曽根上は土下座したまま、体を動かさない。いや、動けない。そのくせ、体の震えが止まらず、今にもここから駆けだして逃げ出したくて、仕方がない。
 ため息をついたのだろう、瑞海宗師が息を吐いて言った。
「もし、お前に改悛の情があるなら、儂の手伝いをすることで、今回は大目に見よう。よいか?」
 選択肢などない。曽根上は黙って頷く。
「佐久田」
 と、瑞海は佐久田に声をかける。
「千京市に行くぞ。今なら、五人が揃うておるであろうからな」
「それでは、遂に」
 と、佐久田が何かに気づいたように応えた。
「いかなる因縁があったものか、定かではないが、儂に出来ることは、やっておかねばならぬ。『最終兵器』の露払いというのも、なかなか体験できることではない。そう考えれば、わが祖が受け継いできた『時』に立ち会えるのは、なんと有り難い、ご神慮であることか」
 そう言って、瑞海は豪快に笑った。
 一切の裏がない、毒気を吹き飛ばす、そんな笑いであった。


(参之傳 父・来たる・END)


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