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作品名:神氣學園滅神傳Reboot 作者:ジン 竜珠

第26回 参之傳 父・来たる・肆
「珠璃は直観力が鋭すぎる。それが『視覚』にも反映されてしまって、時折、『視てはならないモノ』まで視えてしまうことがある。結果として珠璃の精神を壊しかねないから、それを封じるため、だったと思うけど?」
「それは一部誤りだ。実はな、金丹を醸成する『炉』に関係するものに『黄泉津御柱祝詞』っていうものがある。その中で『心中修唱』の部分があってな。それは本来、代々の宗師のみが受け継ぐものなんだが、珠璃ちゃんは、それを『視て』しまったんだ」
 それでその時の記憶を封印し、さらに呪術を施した眼鏡をかけさせることで、抑えているのだ、という。
「あるいは、『黄泉津御柱祝詞』を『視て』しまったために、反動で珠璃ちゃんの視力が弱くなってしまったのかも知れないが、いずれにせよ、彼女の目には、そういう秘密がある」
 なんだか、頭がこんがらがってきた。だが、俺に頭の整理をする余裕など与えないように、親父は話を続けた。
「御柱は、完全なモノじゃなく、いずれは封印が解ける怖れのあるものらしい。それを防ぐために、かつては御柱に対して直接『儀式』を行って封印を強化していたそうだが、今は、遠隔呪術で御柱の封印を強化している。それに使われるのが、二(ふた)振(ふ)りの七支刀だ」
「七支刀、って……。……え?」
 俺の脳裏に、この夏にもらった七支刀が浮かぶ。
「一降りは、まさに封印用に、もう一降りは、万が一封印を解いて黄泉津大神が復活した時、それを根(ね)の国(くに)に追い返すためのものだ」
 まるで「わかっているな」といわんばかりに親父が大きく頷く。
「そうだ、お前が手に入れた七支刀は『そのため』のものだ。あれは何代か前の宗師・徹禅によって『大蛇(おろち)』に偽装されていた。俺にも、今の宗師・瑞海宗師にも、その偽装咒を解くことは出来なかった。だが、竜輝、お前にはそれが出来た」
 親父は立ち上がり背伸びを一つする。
「今にして思えば、俺と母さん、二人ともが『竜魂拝受』を受けたのは、まさに『お前』という御(み)魂(たま)を、この世に降ろすためだったのかも知れん。その意味で、お前は宗家の『最終兵器』、そして、人々の希望なんだ」
 親父の言葉が、重く俺にのしかかる。
「そう、あの刀を使いこなし、黄泉津大神に引導を渡せるのは、竜輝、お前ただ一人なんだ。だから、最後にはお前一人で、立ち向かわなければならないかも知れない」
 親父の目に、わずかに複雑な色が浮かぶ。それには複雑な感情が込められているように俺には思えた。
「今、事態は大きく動こうとしているのかも知れない。お前の『準備』が出来ないうちに、急展開するかも知れん。だから、覚悟だけは決めておいてくれ」
 少しずつだが、俺の中に「使命感」とも「義務感」とも違う、何かの感情が芽生えていく。
「さて、と」
 と、親父はもう一度、伸びをし、腕時計を見る。完全防水、強い衝撃にも耐えられるタイプのヤツだ。
「本当なら、あの家でゆっくりとしたかったんだがな。これから、ホテルに戻って荷物とって、空港に向かわないと『次の予定』に間に合わないからな。名残は尽きないが」
 親父は右の拳を俺に突き出す。
「頑張れよ、竜輝!」
 俺も立ち上がり、右の拳を突き出して、親父の拳を軽く打つ。
「おう! 親父も頑張れよ。間違っても、死ぬんじゃねえぞ!」
「お前もな」
 去って行く親父の背中を見ながら、俺は自分の中に芽生えた感情……友だちを、そして「誰か」を「護りたい」っていう想いを噛みしめていた。

 その夜。どこでどう聞きつけたのか知らないが、まあ、十中八九、姉貴経由だとは思うんだが、凉さんから電話がかかってきた。
「輝鵬さんが来るんだったら、なんで教えてくれなかったんだ!」
 と、すげえ剣幕で怒られた。近いうちに、「正式に」俺に説教し来るとか言ってた。
 俺は悪くないぞ?


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