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作品名:神氣學園滅神傳Reboot 作者:ジン 竜珠

第22回 番外之傳 天高く、UMA肥ゆる秋・肆
 案の定、大して収穫はなかった。時刻はもうすぐ午後五時になろうとしているが、足跡どころか、それらしい証言も、噂のレベルを出ない。
 一子がどこかで仕入れた情報らしく「木にマーキングとかありませんかね」などと言っていたが、それらしい痕跡もない。
 そろそろ帰ろう、となった時だった。ダウンジャケットにジャージー、さらにはフードをすっぽり被った完全防備の人影が、ジョギングしながら橋を渡ってこちら側に来るのが見えた。九月とはいっても、まだまだ暑い。その中でこの出で立ちは、不審であったが、人影は時折、何かの動作を交えている。どうやら、何らかのトレーニングの最中のようだった。
 これを見て、竜輝と珠璃には何かひらめくものがあったらしい。お互い、顔を見合わせて頷くと、竜輝がその人影に声をかけた。
「すみませんが、こんなところで、何、なさってるんですか?」
 おずおず、といった感じではなく、何かを確信したような聞き方だった。
「あら、イケメン」などということを言って、人影が立ち止まる。フードを取ると、そこには若い女性の顔があった。
「私? 私ね、ここがジョギングコースなの。いつもは夜に走ってるんだけど、今日はお休みもらってるし、夕方にも少し走り込んどこうかなって」
 そこに珠璃が割り込んできた。
「失礼だとは思うんですが、今の時期、そういう格好で走っていると、かえって体に負担がかかりますよ」
「やっだあ、あなたも女の子ならわかるでしょ? とにかく、すぐにでも落としたいのよ」
 何を落としたいのか、さすがに鷹尋にも想像できた。
「いやあ、この夏に『うっかり』しちゃってねえ、気がついたら、ってヤツ? とにかく、再(さ)来(らい)週(しゆう)、医者の卵との合コンがあるから、それまでに少しでも!」
 本来なら、見ず知らずの、それも会ったばかりの他人、しかも高校生にこんな話などするはずはないが、やはり、そこは竜輝たちの「技量」ということだろう。残念ながら、鷹尋には、そこまでの「能力」はない。
「しかし」と、珠璃が言う。
「こんな人(ひと)気(け)の少ない場所ですし、万が一ということもありますから、コースとか、もう少し……」
「そうなのよ。この間も、人影がこっちを見て声を上げて、私もビックリして、大声出して逃げちゃったし。一応、ライトとか肩につけて走ってたから、私の顔は見えてないはずだし、トレーニングにボクササイズも入れてるから、万が一の時にはそれなりの対応が出来るとは思うんだけど」
 そのあと、二言三言、言葉を交わし、女性が「それじゃあ、時間とかコースとか変えようかしら」と言って、会話は終わったようだ。
 こちらへ戻りながら、珠璃が言った。
「大(たい)山(ざん)鳴(めい)動(どう)して、だったね」
 竜輝も、やや呆れながら頷く。
「でもさ」
 と、鷹尋は笑顔を浮かべて言った。
「バカバカしいオチで、よかったじゃない」
 その言葉に、竜輝は、
「そうだな」
 と、笑顔を返した。

 ちなみに、一子とありすは、竜輝と珠璃とのツーショットの方に興味が移っているようだった。


(番外之傳 天高く、UMA肥ゆる秋・END)


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