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作品名:神氣學園滅神傳Reboot 作者:ジン 竜珠

第15回 15
 深夜。セカンドハウスにしているマンションの一室で、椅子に座り、護代真吾は部下からのレポートを読んでいた。
「志賀 修一(しが しゅういち)は使い物にならなくなったか。何があったんだろうな、一体? 推測では、つき合っていた女が失踪したらしい、とのことだが、推測は推測に過ぎんしな。だが、今、彼、いやミハシラ・メディックスという基盤を失うわけにはいかん。他の派閥からの追い落としに利用されては困るし、『アレ』の研究も途中だしな。そもそも『アレ』……『金丹』とやらの完成が条件で叔父貴殿から、支援を得られているわけだし。となれば、代わりの誰かを据えるか……」
 しばらく目を閉じ考えていたが、不意に口元に笑みを浮かべると、真吾は呟いた。
「中城(なかしろ)を引き込んで据えれば、面白いだろうな」
 中城は専務派の中核、いわば敵将だが、それだけに味方に引き込めればこれほど心強いものもない。
 では、いかにして引き込むか。これについてはもっと情報が必要だろう。
「さて、と。となれば、いろいろと『工作』せねばな。必要ならば、叔父貴殿からある程度、“融資”してもらうか」
 立ち上がると、真吾は照明を落とした。


 隣街にあるバー「セピア・ボックス」。時刻は午後十時を三十分ほど過ぎた頃。そのカウンター席に二人の男がいる。
「今日は、どのような用向きですか?」
 二人のうち、三十代半ばの目つきの鋭い男が言った。
「内緒の話さ」
 もう一人、一見、三十代半ばの優男だが、どこか隙のない鋭さを感じさせる男が答えた。
 ミハシラ・コーポ本社総務部人事課課長同格・中城 明彦(なかしろ あきひこ)と新輝学園理事長・護代 真吾(ごだい しんご)だ。
「単刀直入に言うよ。中城くん、私の下で働く気はないか?」
「これはまた、ストレートな」
 と中城は苦笑する。
 今、ミハシラ・コーポは次期社長の椅子を巡り、いくつかの派閥に別れて水面下で争いを続けている。真吾はもっとも有力な派閥の「頭」であり、中城は、その次に有力な専務派のエリートであった。
「しかし、ここにこうして来ているということは、少しは興味があるんじゃないかな?」
「護代理事長ほどの聡明な方が、あまりにも荒唐無稽なことを仰いましたのでね、私の興味は、むしろそちらにあると思っていただきたい」
 と、中城はサマースーツのポケットを、指でトントンと叩いてみせる。そこにスマホを入れているであろうことは、想像に難くない。
「メールには『ミハシラ・メディックスの新薬について』とありましたが、本当にそんな効能があるのかどうか。例えばDHAなどが脳にいいとはいいますが、それが絶対的なものではないことは、理事長もご存じのはず。それが、『確実に脳力を向上させる新薬の臨床試験に入った』とは、その見識を疑います」
 嘲笑混じりに中城は言ってみせる。
「それなら」と、真吾は意味深な笑いを口に浮かべた。
「君自身で確かめてみては?」
「は? 何を仰っているのか……」
 再び笑ってみせる中城だが、すべてを言う前に真吾が言った。
「ミハシラ・メディックス専務の椅子を君に用意したいのだが?」
 中城が表情を強張らせる。
「今、なんと?」
「君にはミハシラ・メディックスの専務になってもらいたい」
「しかし、それは……」
「君も知っていると思うが、現専務の志賀修一氏、私は彼を解任しようと思う。私には、それだけの力があるしね」
「……」
「志賀氏は、正直、力不足だった。実質的にミハシラ・メディックスの専務だったのは、大木(おおき)氏だったといってもいい。君も知っている通り、大木氏も私の派閥の盟友だ」
「なるほど。それでは、大木氏が納得しないのではないですか?」
「それは君が心配することではない。私はね、優秀なものこそが上に立つべきだと思っている。志賀氏は、その器ではなかったってことさ」
 しばらく考えてから、中城は答えた。
「少し、お時間をいただけますか?」
「いいとも。じっくり考えてくれたまえ。決して悪い話ではないと思うよ」
 と、真吾は微笑む。
 難しい顔をして、中城は店を後にした。


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